しののめ

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6/30/2024, 1:11:17 PM

 河原を歩いている。

 自宅から何分もかからない距離にある川は、昔から俺の散歩コースだ。勉強に集中できない時や寝付きが悪い時なんかにはよく、親や兄弟には内緒でこっそり家を出て適当に歩き回る。

 今夜も今夜とてゲームの合間の息抜きにこっそり抜け出してきた。河原には誰もおらず、水の流れも穏やかだ。周囲の街頭と月明かりの下、水面がゆらゆらと揺れている。

 俺はこの時間が好きだ。

 昼間は勉強や部活に明け暮れ、夕方は家族の喧騒に紛れながら身の回りのことをこなしていく。俺の家族は良くも悪くも皆、賑やかな人たちばかりで、落ち着いて過ごすということを知らない。さっきまでいた自室からは何かスポーツの試合番組を観ていたのだろうか、居間から歓声が壁越しに響いていた。

 草を蹴り、石を蹴る。

 静かな川を眺めながら、俺はズボンのポケットに両手を突っ込む。高校生である自分にはやらないといけないことが多い。

 勉強。
 部活。
 そして、進路のことを考えること。

 進路ねぇ、と思わず溜息が漏れる。

 勉強は数学と歴史が好き、部活もまぁまぁ、あと好きなことは、ゲーム。主に格闘ゲームが好きかな。などと色々頭を巡らせるが、どうにもしっくりとはこない。

 ばしゃ、と川の向こうで魚か何かが跳ねる音がした。

 何となく気になり、音がした方へ歩いていくといつの間にか橋の下まで来ていた。コンクリートの柱には誰かがスプレーで描いたであろうローマ字の落書きが柱いっぱいにかかれている。

 こういう落書きって誰が描いているだろうな。

 そっ、とローマ字の端を撫でる。不良かアーティストか、それとも普段は学生やサラリーマンをしているのだろうか。やっていることの違法性はさておき、そのセンスは少々羨ましいとさえ思える。

 俺にも何か特別なことが出来るのだろうか。

 ふと、柱の影でごそごそと黒いものが動いた。急なことで鳥肌が立ったが、すぐに動いたものの正体が分かった。

 黒い子猫だった。

 生まれて何日かは経っている様子だが、親猫の気配は感じられない。他に猫はおらず、この子猫だけだ。捨てられたのか、親猫に何かあったのか。

 みぃ みぃ

 赤ん坊の靴のような鳴き声をあげながら、子猫は、てとてと、と近づいてくる。足元までやっとくると小さな頭を上げて俺をじ、と見つめてきた。

 今、俺が出来ることはきっと…

 そっと子猫を抱き、頭を撫でながら、どう説明したものか、と河原を後にした。



 時が経ち、俺は社会人になり、実家を離れて一人暮らしを始めた。

 あの日河原で拾った子猫はすっかり大人の黒猫になり、今でも実家でのんびりと暮らしている。

 今思うとあれはきっと何かに導かれていたのだろう。

 そして最近も何かに導かれている気がしている。

 そう思い、今日も今日とて仕事終わりにゲームセンターへ足を運ぶのだった。

【赤い糸】

6/26/2024, 12:54:20 PM

200年前 300年前
もっと前だったか

その日は
雨が降っていた
空を覆い隠す程の厚い雲

鳥居の隅にうずくまる貴方
動かない貴方
自分はただただ
傍にいることしか出来なかった

もし自分が人間だったら
この結末は変えられたのだろうか


その答えは 今になっても
分からないままだ


ある町に住まう神の嘆き

【君に最後に会った日】

6/25/2024, 12:08:39 PM

白いレースの向こうに
置いてある花瓶

いつも通る道の家の窓際に
飾られていた 花

何日かおきに
花瓶にある
花の種類がかわっていた

前は
小さな彩りの花

その前は
赤い葉っぱの束

その前の前は
なんだったか

知らない花が多かったけれど
向日葵や紫陽花など
知っている花も時折見かけた

時々飾る花が変わっているのを見るのが
密かな楽しみだった

だけど先週から
花は何も飾られていなかった

次の日もその次の日も

後から聞いた話だが
この家は解体されて
駐車場になるそうだ

最後に飾られていた花は
紫苑の花だった

【繊細な花】

6/24/2024, 10:59:21 AM

子供の時や 学生の時は
1年後なんて
遠い存在だった
砂漠の中
オアシスからオアシスへ
歩くくらい
途方のないものだと思った

そして現在は
大人になった
1年なんてほんとにもう
早い早い
気がついたら
また1年 更に1年と
時が無情に 迫ってくる

これを読んでる貴方が学生なら
今を本当に大切にしてほしい

これを読んでる貴方が大人なら
時間に置いていかれないよう
一緒に頑張りましょう

それはそうと今年も半分
過ぎましたね

白目になりました

【1年後】

6/23/2024, 12:31:18 PM

元祖梅ジャム
かわりんぼ
わたパチ
カルミン
ひもQ
もぎもぎフルーツグミ

駄菓子売り場の
常連だった彼ら


プチコロン

書きにくいペンだったけど
香りが大好きだった


当たり前に
あったのにね

【子供の頃は】

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