しののめ

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6/18/2024, 12:57:11 PM

 非常に私事なのだがここに書いておく。

 私だけなのかは分からないが、夜、布団に潜り、目を閉じ、うとうととし始めてた時、時々、どこからか落ちていくような感覚になる。
 
 そうだな、例えるなら某夢の国のテーマパークにあるアトラクション…急上昇し、天辺に到達した直後に落下する、あのアトラクションに乗ったような感覚、というべきだろうか。落下し続けている感覚がずっと続くような、そんな感覚だ。

 何か身体の不調かと思い、一度調べてみたことがある。調べたところによると、この「落ちている感覚」というやつはジャーキング現象、と呼ばれるものらしく、横になり、全身がリラックスした状況を脳が「高い所から落ちている」という風に勘違いするらしい。

 ひとまず不調な訳ではない、ということは分かっただけ良しとしたい。

 今夜も落ちていくのだろうか。

 気持ちは落ち着かない。      【落下】

6/17/2024, 10:49:07 AM

僕には「それ」は
あるのだろうか

子供の頃に描いていた「それ」と
今の「それ」は きっと違うだろう

子供の頃の「それ」は
眩しくて 絶対良いものだと信じていた
今はどうだろうか
今の「それ」は 暗くて
怖くて 考えたくもない
だから ここへ来た


俺には「それ」は
ないのだろう

思えばガキの頃から 碌でもない人生だった
傷つけられ 傷つけられまいとして
自らも傷つける日々
今だって 屑みたいなことをして
塵みたいな金で 食い繋いでいる
今日も仕事で ここへ来た


僕はこれで「それ」が終わる

俺は今日も「それ」がない


これはとある二人が出会い
繋がりを経る「それ」の
前の噺


【未来】

6/17/2024, 3:51:52 AM

 ある町の話。
 人と人ならざるモノが住まう町の話。

 人ならざるモノとはすなわち「神」や「妖」と呼ばれたモノだった。
 両者とも同じ人間と異なる存在であるものの、人に信じられ祀られることで人に尽くすモノを「神」と呼び、人に害をなすモノを「妖」と呼ぶような違いがある。
 町では各所で神や妖が頻繁に見られたり、数々の伝承や言い伝えが存在していたりと有史以来、神妖の存在は町と町の人々にとっては無視することの出来ないものと今日までなっている。


 逢魔時。
 空が揺れる。

 空が異様に赤くなるのは何も日が沈んだからだけではなかった。町に潜む妖が跋扈する刻だ。大抵の妖は町に住まう神々によって人間へ害が及ばないようになっているが、時折、神の目を掻い潜って害をなす妖がいる。所謂「神隠し」と呼ばれる失踪事件がこの町で起きたとしたら、妖の仕業なのである。

 赤い空の向こうで何者かが嗤う。

 去年のことである。

【1年前】【あいまいな空】

6/14/2024, 9:11:37 AM


ふん
移り気 浮気 か
随分と勝手な印象だ
土の性質によって
花の色が変わるというのに
人間というやつは
一方的な思い込みで
言の葉を花に与える

昔 ある先生がそう嘆いていたのを
ビニール傘越しに咲いている
こいつを見て思い出した

こいつは知らぬ存ぜぬで
ピンク 青 白と
好きに咲いている

そんなこいつが
自分が好きだ

【あじさい】

6/12/2024, 2:45:50 PM

世の中というやつは存外
上手くできている

肉が好きで
ピーマンが嫌い
ピーマンの肉詰めは
食べられる

夜更かしは好きで
朝起きるのは嫌い
必ず昨日は終わり
必ず明日が始まる

保健室の先生は好きで
生徒指導の先生は嫌い
労りと観察という
いわば生徒にとっては飴と鞭

あの子は好きで
あいつは嫌い
密かに想いを寄せていて
あいつもあの子に想いを寄せている

全く 存外 世の中
上手くできていない

【好き嫌い】

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