劉蓮

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6/19/2022, 7:04:20 AM

落ちる 墜ちる 堕ちる

恨みに飲まれ、憎悪に塗れ、落ちてゆく

誰が自分をここまで追い詰めたのか

誰が自分を裏切ったのか

それすらも分からず、ただただ負の感情に飲まれてゆく

暗いこの場所で、底の見えない奈落へと


堕ちてゆく

落ちた先には何がある---


#落下

6/15/2022, 5:50:12 PM

放課後の静かな図書室内で今日も本を読む。
私は太宰が好きだ。
『人間失格』、『女生徒』、『斜陽』、『如是我聞』...
よく太宰は暗いと言われるがその中でも人間味を感じた。
なんとなく自分を重ねてしまうのだ。

理解できない、理解されないその感情が...

何度も繰り返し読んだ『グッド・バイ』
彼の遺作とも言われている、この作品。
死の直前まで書いていたと言われている未完の作品。
彼は一体何を思って執筆したのだろう。
彼が生き続けていたとして、この後の作品の行く末はどうなったのだろう。

気になりはしたが私は読みたいとは思えなかった。
なんせこの作品は未完であってもいい話なのだ。
未完であるからこそ引き込まれる...

彼の人の気持ちに寄り添える。
そう錯覚できるのだ。


閉館を知らせる放送が流れ始め私は本に紙を挟み、そのまま棚にしまった。

図書館を出てそのままある場所へと向かった。
目的地にたどり着き上を向くときれいな夕日が視界に広がった。

---あの作品を読むのも今日でおしまい

私は柵へと近付き乗り上げた。

---さようなら

暗転した世界を他所に私は目を瞑り別れを告げた。




後日、とある学校の1人の女子生徒が屋上から飛び降りたとニュースになった。
とても大人しい生徒でいつも図書室で本を読んでいた。
彼女がよく借りて読んでいた著書に遺書が挟まれており自殺であったことが裏付けられたのだった。


好きであるが故に作品に、作者に魅了され道を踏み外してしまった哀れで憐れな少女の話。


#好きな本

6/14/2022, 6:02:55 PM

青い空がだんだんと変わっていく

僕は空を見上げ1日を振り返る。
今日の僕はちゃんと笑えていたか。
かけられた言葉に受け答え出来ていたか。

同世代、同年の子供を集めた学校は僕にとってとても居心地のいいとは言えない空間だった。
少しでも周囲とズレた言動を起こせばたちまち浮いた存在へと変えられる。

僕はあの空間では居ないものとして、存在を小さくし、目立たないように、人の目になるべく入らないように、注意して生活している。
僕にとってあそこはとてもつかれる場所。

今のちっぽけな僕を包み込むこの場の空気。
とても居心地がいい---

この時間の公園は子供達が帰路につき人が居ない。
青かった空が、世界が赤に染まる。

昔は1人でいるこの時間がとても怖かった事を覚えている。
まるで世界でたった1人取り残されたような、そんな感覚がとても恐ろしかった。

けれども今は---

昼でもなく、夜でもないこのあいまいな時間。
黄昏時は小さな僕の心を優しく包んでくれる温かいものだと僕は知っている---

#あいまいな空

6/12/2022, 5:28:50 PM

人の感情はとても興味深い。
1人が好きと思うものを別の者は嫌いだという。
1人が嫌うものを別の者は好きだという。
全員に好まれるものが果たしてこの世に存在するのだろうか。
全員に疎まれ、嫌われるものとは一体なんだろう。
おそらくこの世にそんなものは存在しないのではないか?
自身が好きなものは別の者によっては好きなものかもしれない。その反対に嫌いだと思ったものは別の者によっては好きなものなのかもしれない。

人の好みとは千差万別。
人の数だけ違いもある。

みんな違って、みんないい。