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11/8/2025, 12:40:21 PM

オレの相棒は、気づくとどこかに行っている。
隣にいると思っていたのに、少し目を離しただけで姿が消えていた、なんてことが何度もある。


まるで見えない羽根があるみたいだ。
背中に生えた希薄な存在を静かに羽ばたかせて、気配だけを残して、軽々と遠くに飛んでいって、

それで、


オレが届かないところまで、




待って。

嫌だ、




行かないで、


待っ





「…どうした、?」
「え」

気づけば、相棒の手を握っていた。
「…」

ちゃんと隣に、いる。



「……どこにも、行かないよな?」
思わず呟いた。
「は…」
「絶対オレんとこに戻ってくるよな?」
「………」
「な…?」


相棒は戸惑った顔をしていたが、やがて目を伏せ、呟いた。

「……ま、お前の頼みならな」
「…………ほんとに?」
「なんで今嘘つく必要があるんだよ」
「…じゃ、約束」
そう言って小指を差し出すと、相棒は柔らかく微笑み、そっと指を絡めてきた。


大きくて透明な羽根に包まれたみたいに、空気がぬくもった。




【透明な羽根】

11/7/2025, 9:30:05 AM

こたつ、毛布、コート、手袋、マフラー。

冬を乗り越えるため、今年もいろんなものを引っ張り出す。




うーん、でも何か足りない。
これよりもずっと、ずーっとあったかいものが、あるはず。



ぼんやり思いながら、さっき出したばかりのこたつ布団に潜っていると、アイツが隣にもそもそと入ってきて、当然のように俺に抱きついてきた。









あ、これだ。



【冬支度】

11/4/2025, 2:31:44 PM

小さな花から放たれる甘い香り。
それを肺に取り込みながら歩いていたら、小さなオレンジ色が、ツンツン跳ねたアイツの金髪にぽとりと落ちた。
取ろうと手を伸ばしたタイミングでアイツが振り向くから、その拍子にキンモクセイの花が余計に髪に入り込んでしまった。

「おいちょっと待て」
「えなに?」
「キンモクセイが」
「あ?」

丸い頭を引っ付かんで、髪の間をまさぐる。
「んわぁぁくすぐってぇ」
変な声をあげるアイツを無視してもしゃもしゃ掻き回した。


「っと…取れた」
「わ、キンモクセイだ」
「だから言ったじゃねえか」
「なんだそーゆーことかぁ」

指につまんだキンモクセイを、…落とすのも申し訳ないので、そばにあった塀の上に乗せる。
直後、ゆるい風にさらわれ、甘い香りの尾を引きながら向こうの家の庭に落ちた。
それを見届けてからアイツのほうを向くと、アイツはそわそわしながら、

「てっきり、頭撫でられたのかと」
と細々とした声で呟いた。



「……撫でられたかったのか?」
「や、別に、そんな、こと、ないけど…、」
たどたどしく答えつつ、アイツの目は物欲しそうだ。


「…」
めちゃくちゃに毛先の遊んだままの頭に、そっと手を置く。
途端に明るくなるアイツの顔。
脳裏に浮かんだ「かわいい」は言葉にせず、ただわしゃわしゃとアイツの髪を撫でた。



【キンモクセイ】

11/3/2025, 10:09:15 AM

相棒は、愛する人のために遠くへ旅立った。
オレに何も知らせずに。







相棒は戻ってきた。
逝きかけの体一つ残して。



【行かないでと、願ったのに】

10/31/2025, 9:37:21 AM

ただ、アイツの隣にいて、
一緒に喜んで、
一緒に泣いて、
一緒に苦しんで、

一緒に生きて、生きて、生きて、



【そして、】

──────
同時に死ねたらいいな。

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