白い肌。黒を基調とした服装。
そんな、彩度の低いお前だから、紫色をした瞳や角が、余計に目立って見えて。
何よりも、綺麗で。
お前という存在のアクセントみたいに強い印象を残す紫だけど、
ごつごつした角が、風になびいた長い髪の毛に隠れるたび、
潤んだ双眸が瞬いて揺れるたび、
その色さえもモノクロに呑まれてしまいそうで。
お前の紫をこの手で守りたい、なんて思ってしまう。
【モノクロ】
永遠とか運命とかお前は信じてないだろうけど、
オレの気持ちを伝えるには、「永遠」って言葉が一番だと思うんだ。
「永遠に、一緒に生きていきたい」ってな。
………ははっ、ガラじゃねーなぁこんなの!!
わりぃ、笑ってくれ!ホントに。
そんな風に笑うアイツを見て、俺は初めて永遠を信じてもいいと思った。
アイツと同じだけの「永遠」を、俺も返してやりたいと。
【永遠なんて、ないけれど】
コーヒー淹れてきたぞ。
今日はお前が好きなブレンドのやつ。
オレには理解できねえけどな、こんな苦いのが好きなんて。
…いや、コーヒーなんて全部苦いから味の区別なんてついてねえけど。なんかこれは特に苦い気がするだけ。
さ、今日こそはこのコーヒーが冷めるまでに目ぇ覚ましてもらうぞ。
じゃないと飲んじまうからな。
目の前で好物取られんの嫌だろ。
だから早く、目を、
……
………………
………………………………なんて、無理だよな。
こんなことしてもお前は目覚めたりなんかしない。
分かってる、分かってるけど、なんかの拍子に生き返ったりしねえかって、どっかで期待しちまってんだよ。
そん時は、オレが隣にいたいって。
ごめん。こんなオレ、見たくないよな。
オレだってやだよ、こんなの。
だから、もう「こんなオレ」でいなくてよくなるように、早く起きてくれよ。
【コーヒーが冷めないうちに】
何もかも違うはずなのに、こことは違う世界から来た「アイツ」は、この世界にいるアイツと同じなんだ。
あっちの世界にも「オレ」がいることも聞いた。やっぱりこの世界のオレとは違うらしいが。
違うのに、同じ。
だから、「アイツ」はあっちの世界の「オレ」も、この世界のオレも、平等に大事にしてくれた。
というより、あっちの世界の「オレ」が大事だから、それとほぼ同じであるオレのことも大事にした、と言ったほうがいいか。
……できれば、避けたかったのに。
結局オレは、まんまと絆された。
この世界のアイツと、あっちの世界の「アイツ」とに向ける気持ちの区別がつかなくなってしまった。
違う。同じだけど、違うんだ。
オレが好きなのは、この世界のアイツであるべきなのに。
あっちの世界の「アイツ」には、あっちの世界の「オレ」がいるのに。
なんで、あっちの世界の「アイツ」のことまで。
終わりだ、と思った。
【パラレルワールド】
逃げよう。
【僕と一緒に】
______
迷わず手を取ってしまいたくなるような、眩しい姿で。