放課後。桜の舞う木の下。
静かな空気に、遠くから聞こえるチャイムの音が溶ける。
そんな、都合のいい少女漫画みたいなシチュエーションだったのに、
繰り広げられるは、ムードもへったくれもない告白劇。
たどたどしい足取りで、テンプレのような言葉たちが踊る。
正直、がっかりした。
けれど、そんな情けない有り様でも、自分のことを好きなのは十分伝わってきた。
それに、必死な姿がなんだかかわいくて。
告白を受け入れる。
心が、ぬくもった。
【春恋】
決まっていないことを形にするのは難しいけど、お前がこれからも隣にいることは確かだよ。
【未来図】
風景に溶け込みすぎると、あるはずのものが見つからなくなることがある。
それを聞いて一番に頭に浮かんだのは、アイツの存在だった。
アイツとは、いつも、どこでも一緒だった。
アイツがいる風景が、オレの日常だった。
だから、不安になった。
アイツがこれ以上、オレの日常の風景に溶け込んでしまったら、いつかオレは、アイツを見つけられなくなるんじゃないかと。
それから。
アイツといるとき、オレはアイツの手を繋ぐようになった。
その存在を、ちゃんと判っていられるように。
【風景】
現実のストレスが重なり、ヤケクソになって布団を被る夜。
【夢へ!】
「なぜあなたは、ずっとそこにいるの?」
「約束したから」
「どんな約束?」
「またアイツと逢えるまで、ここで待つ約束」
「アイツ、が誰かはしらないけど、でももう何十年もここにいるってことは、まだ果たされてないんだ」
「ああ」
「諦めたいと思わないの?」
「何度も思ったよ、でも離れるわけにはいかない。
もし俺が去ったあとにアイツが来たら、アイツに針千本飲まされるから」
「ふーん」
「まあ、俺もアイツに針飲ませるつもりだけど」
「約束破ってないのに?」
「待たせすぎた罰」
「怖いねえ」
【遠い約束】