手紙を書いた。
いわゆるラブレターと言われるもの。
なけなしの語彙力で、気持ちを伝える文を綴ってみた。
何度も推敲を重ねる。
突然吐き気が襲い、口を塞ぐ。
気持ち悪いと思ってしまった。あの人に告白する自分が。
好きなのに。
いや、好きだからこそじゃないか?
好きだから、離れていってほしくない。
でも告白したら、離れていくかもしれない。
離れていかなかったとしても、恋人として一緒にいる自分が想像できない。想像したくない。
それならいっそ、しないほうがいいじゃないか。
でも、告白しなかったら、誰かに取られるかもしれない。
それは嫌だ。自分が一番近くにいたい。
でも、でも、でも。
ぐるぐると思考が巡る。
脳味噌まで気持ち悪くなってきた。
しばらくの後。
結論がでないまま、手紙だけを粉々にした。
【隠された手紙】
消えるみたいだから、お別れを言いに来た。
突然でびっくりするよね、わかる。私が一番驚いてる。
でも、なんか、不思議と怖くな んだ。
っと、 うなる前に君に出会えたからだね。
ありがとう。今ま 、すごku幸せだ た。
君を残 てい は寂しiけど、元気で 。
そ ろ時 nnみた だね。
最goにこれ 言 せて。
あiしてr 。
。
【バイバイ】
______
最期の声、届いたよ。
人生という旅の途中で出逢った、大切な人。
孤独を決め込んでいた自分の心の中に、初めて入ることを許した人だった。
長いこと、二人で旅をした。
名前のつかない関係のまま、ただ旅をした。
そうした中で芽生えたのは、愛だった。
世話をせずとも勝手に育っていった愛は、あっという間に抱えきれないほどの大きさになった。
そのかけらをそっと差し出すと、その人は「一生大事にするね」と言って、心の真ん中に飾ってくれた。
その日から、二人だけの旅路は、どこまでも続くものになった。
【旅の途中】
そんな顔、そんな仕草、
俺は知らない。
何も知らない。何も。
知らなすぎた。ずっと一緒にいたのに。
どうにももやもやして、イライラして、
唇を噛み、そんな自分に驚いた。
あーあ。
アイツの一面も、
アイツに対する自分の気持ちも、
無意識に出るクセも、
全部知っちまった。
【まだ知らない君】
あなたは太陽。
日陰者の自分にとっては、縁のない存在だと思っていた。
なのに、自分の居場所を侵食するかの如く、あなたは近づいてきた。
許せない。
安置を奪ったあなたも、そんなあなたが気になるようになってしまった自分も。
【日陰】
_______
好きだけど嫌い。嫌いだけど好き。