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6/28/2024, 3:00:01 PM

じりじりと肌を焼く暑さにバテる夏。
水泳の授業を数回でリタイアして、傍観者に成り変わる夏。
制汗剤と日焼け止めのにおいが教室内に充満する夏。
外と中の寒暖差で毎年誰かが風邪を引く夏。
毎日のようにコンビニで買ったアイスをかじりながら帰る夏。
イベントでカップルが成立して周りが無駄に盛り上がる夏。
早々に課題を放棄してスイカを食べて涼む夏。





どこを探しても、もう君はいなかった。






【夏】

6/27/2024, 1:13:33 PM

ここではないどこかへ逃げていたら、
今頃、永遠に二人でいられたはずなのに。



なあ、
俺は、どうすればいい?

お前がいなくなったこの世界で、
どうやって生きればいいっていうんだよ。






【ここではないどこか】

6/26/2024, 12:13:01 PM

いつものように学校に行って、いつものように静かに座っている君にちょっかいをかける。

君はうざがりながらもいつものように付き合ってくれて、いつものように笑いあった。

休み時間はいつものように他愛もない話をして、
次の時間割りにはいつものようにうんざりして、
昼休みはいつものように二人っきりで屋上で食べて、
掃除の時にはいつものように先生にばれないようにふざけあって、

帰りにはいつものように肩を並べて帰る。



分かれ道で、いつものように名残惜しさを残しながら、誰よりも長いバイバイをする。

そうして、姿が見えなくなった頃に、やっと家路についた。




次の日から、君は来ることはなかった。



【君と最後に会った日】

6/25/2024, 11:13:44 AM

彼は私に触れる直前、いつも微かに指が震えます。
そうしてためらいがちに、そっと、そっと触れるのです。


私が壊れることが怖いのでしょうか。彼は私のことをまるで硝子細工の花のように扱います。



壊れる心配なんてないのに。
「私」はとうに壊れているのですから。
けれどなんだか、その行為によって「私」が修復されているような感じがして、それに甘えてしまうのです。






心を失くした人間と、彼女を愛する人間のお話。


【繊細な花】

6/24/2024, 10:36:28 AM

今日は一年で一番素晴らしい日。

ケーキを切って、蝋燭の火を消して。
今日までの1年を生きたことをお祝いするのです。



パーティーが終わって、部屋が静かになって、一人分の呼吸だけが耳に響いて。
時計が明日を告げたころ。

1年後もお互いの心臓が生きていることを願って。
私は彼の少し長い髪の毛を撫でたのでした。





【1年後】


アメリカ民謡研究会風の文章が書きたくて。

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