同じ色のものを揃えて使うこだわりのある友達が、最近イメチェンならぬ、色チェンをした。
前は薄い水色の文房具がずらりと揃っていたが、突然紫色のものに一新されていた。
しかも、ちょうど私の目の色と似たトーンのものばかり。
よくこんなに集められたなと思いながら、話を切り出してみる。
「色変えたね」
「うん」
「今度は紫なんだ」
「うん」
「でも明るい色好きだったじゃん、何でまた暗い色に?まさか、私の目の色だから?」
「そうだよ」
「え、ド直球」
「ダメなの?」
「いえ全然」
「…でも、なんかイマイチなんだよね。『本物』じゃないっていうか」
「え?どういう」
「やっぱり、『あんたの目の色』が一番好き」
「……」
この友達に絶賛片思い中の私は、内心昇天していた。
目の色って、同じ人、きっといないよね。
その世界に一人だけの色を、「好き」って言ってくれたんだよね。
こんなの、告白じゃん。
【好きな色】
あわよくば、あの人と相合傘がしたい。
そう思ってカバンの底に忍ばせている折り畳みの傘は、依然として、持ち主である僕しかその下にいれたことがない。
雨が打ち付ける教室の窓に、指でこっそり相合傘を描く。
今日は運良く傘忘れててくれないかな、あの人。
【相合傘】
夢の中で大きな機体が落下して、体が跳ねて起きるとき、ありますよね。
びっくりして少しの間動けなくなって、なんだ夢か、なんて思って、すぐ横を見ると、隣で何事もなかったかのように恋人が寝ているわけですよ。
たった今隣の人間がベッドを揺らしたのに、それはもうすやすやと。
そんなとき、あーなんか幸せだなって、思ってしまうんです。
寝つきが良すぎて何が起こっても目覚めない恋人が、心底愛おしくてたまらないのです。
【落下】
※語り口調ですがフィクションです。
※落下要素ほぼなし
1年前の自分。
いろいろありすぎてストレスを抱えていた記憶がほとんどです。今年と同じです。
ここでお話を書くこととその他諸々の趣味で何とか正気を保っていました。今も同じです。
ただでさえやりたいことの時間がとれてないのに、社会に出たらさらに時間がなくなるって、自分大丈夫か、と常々思っております。まあ頑張るしかないですね。
自分語り失礼いたしました。
【1年前】
「私、けっこう梅雨の時期好きなんだよね」
帰り道、突然切り出された話。
どうして?と形式的に聞き返すと、彼女は花壇の方向を指差した。
「ほら、あれ」
そこには、青が強めの紫色のあじさいが咲いていた。
「私あじさいが好きなんだ~」
脈絡のない語調で彼女は言い、そのあじさいの前にしゃがみこんだ。自分も座らされる。
そして、また勝手に話し始める。
「あじさいって、土のペーハーによって色が決まるんだって。ん?ペーハー、って言い方はもう古いか、ははっ。…このあじさいは青だから、土は酸性か。よかったよかった、私この色好きなんだよねぇ」
あじさいの花びら(正式には「ガク」だとのちほど聞かされた)をつまみ、軽く引っ張り、撫で、弾き、彼女はつらつらと聞いてもいないことを語り続ける。
そろそろあじさい講座にも飽きてきて、帰ろうかと立ち上がった時、
「ね、綺麗でしょ~」
そういって笑いかけてきた彼女。
その笑顔が、あじさいが霞んでしまうほど綺麗に見えて、不覚にも、この空気を読まない少女にときめいてしまった。
【あじさい】