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5/26/2024, 1:18:42 PM

ある者は願った。
月よ、そのまま沈んでくれるなと。
その者は、永遠の夜を望んでいた。

またある者は願った。
月よ、もう二度と昇ってくれるなと。
その者は、永遠の朝を望んでいた。


その者らの願いはあまりに強すぎて、月は困惑して、やがて欠けてしまった。


その欠片が、これ。
この世界を滅ぼした、隕石。
これが落ちて大気が乱れ、ここには昼も夜も無くなった。


少々大きすぎるので今はこのように移動させることもできずそのままなのだが、研究棟に持ち帰れば天体研究の最上級のサンプルになる。


…何?なぜ科学者なのに非科学的な話をするのかって?はは、仕方ないだろ、事実なんだから。

ここは科学と非科学が入り交じる世界。そりゃ私も非科学的な話のひとつやふたつ信じるさ、それが『事実』ならね。
科学の世界に入ったって、非科学を否定する訳じゃない。


…私も月に願ってみようか。『奇跡』でも起これば、叶うかも知れないだろう?



さて、何を願おうか。





【月に願いを】


______
なんか思い付いて書いてはみたけど、
頭よさげな話、書けないっす…

5/25/2024, 12:00:55 PM

雨と雷の音が部屋の中にまで入ってくる。
その音のお陰で布団に入っても眠れずにいると、電話がかかってきた。こんな時間に誰だと思ったら、つい数時間前に帰っていったばかりの彼氏だった。
「眠れない」というので、少し話をした。
ぽつぽつと他愛のない会話をする。しかし外が光る度に、その会話は中断される。
そういえばアイツ、雷苦手だっけ。おそらく電話の向こうでは耳を塞いでいるんだろう。

電話の時間が二時間を超え、少し眠くなってきたところで、会話も途切れる。
寝落ちしたのかと思って切ろうとすると、電話口から微かに鼻をすする音が聞こえた。
どうした、と声をかけるも返事がない。もう一度声をかけようとしたら、

「会いたい」

涙声の、甘えるような小さな声が静かな部屋に溶けた。
その直後、外がひときわ眩しく光って、すぐに雷の音が聞こえる。

…胸が苦しい。愛しさが募る。
さっきの声につられて出そうになる涙をぐっとこらえて、「今から行く」とだけ伝えて、急いで上着と傘だけ持って家を出る。

あっちに着いたら、めいっぱい抱き締めてやろう。
それで、アイツの目から流れる雨が、少しは止むといいけど。

そんなことを思いながら、全速力で走った。





【降り止まない雨】

5/22/2024, 10:29:10 AM

「また明日」
週末のデート。
そう言って別れる瞬間が、一番不安だった。


「明日」が、いつか来なくなるかも知れない、別れた後に何かあるかも知れないと考えてしまう。
もしそれが今日だったら、と。
会えなくなるのが、怖くて仕方がなかった。


だから、「また明日」を言われる前に、一緒に暮らさないかと提案してみた。

言った瞬間は変な空気が流れたが、その翌日から、「また明日」の後に別れることはなくなった。





【また明日】

5/21/2024, 11:05:37 AM

透明。
あらゆる他の色を遮らず、存在しているのかしていないのかすら分からない色。
そもそも透明は色なのだろうか。
透明とはなんなのだろうか。
見える透明と見えない透明があるのはなぜだろうか。
宇宙ができる前の世界は、透明だったのだろうか。
透明という概念はいつからあるのだろうか。





答えの出ないことを考えるのはやめよう。
あなたが流す透明の涙が何よりも綺麗だから、なんだっていいじゃないか。




【透明】

5/17/2024, 12:26:54 PM

真夜中になると、無性に会いたくなる人がいる。
夕方、帰り道で別れたばかりのアイツ。
なんでかは知らない。会いたいから会いたい。それだけ。

けど、突然会いに行っても、どうせ迷惑がられて追い返されるだけだから。


朝が来ればまた会えると言い聞かせて、今日も独り寂しく眠りについた。






【真夜中】

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