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雨と雷の音が部屋の中にまで入ってくる。
その音のお陰で布団に入っても眠れずにいると、電話がかかってきた。こんな時間に誰だと思ったら、つい数時間前に帰っていったばかりの彼氏だった。
「眠れない」というので、少し話をした。
ぽつぽつと他愛のない会話をする。しかし外が光る度に、その会話は中断される。
そういえばアイツ、雷苦手だっけ。おそらく電話の向こうでは耳を塞いでいるんだろう。

電話の時間が二時間を超え、少し眠くなってきたところで、会話も途切れる。
寝落ちしたのかと思って切ろうとすると、電話口から微かに鼻をすする音が聞こえた。
どうした、と声をかけるも返事がない。もう一度声をかけようとしたら、

「会いたい」

涙声の、甘えるような小さな声が静かな部屋に溶けた。
その直後、外がひときわ眩しく光って、すぐに雷の音が聞こえる。

…胸が苦しい。愛しさが募る。
さっきの声につられて出そうになる涙をぐっとこらえて、「今から行く」とだけ伝えて、急いで上着と傘だけ持って家を出る。

あっちに着いたら、めいっぱい抱き締めてやろう。
それで、アイツの目から流れる雨が、少しは止むといいけど。

そんなことを思いながら、全速力で走った。





【降り止まない雨】

5/25/2024, 12:00:55 PM