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7/13/2024, 11:30:24 PM

優越感、劣等感…



今の職場に就いて一週間、強烈な上司の下に居た。

美しく強気なナイスミドルの彼女は

事あるごとにMさん(30年ベテラン)と私を比べた。



私はどんどん疲弊していった。

一週間がたち、上司は私に言った。

「使えない。上履きとタイムカード持って帰りな」



私は何も考えられず、上履きとタイムカードを持って事務所に行った。

知らないうちに泣いていた。

劣等感というより、敗北感だった。

事あるごとに比べられたMさんは、

のらりくらりとほとんど仕事をしない人だった。

私は自分なりに一生懸命尽くした。

けれど及ばなかったのだ。



事務所で泣く私に、部長が違う部署を用意すると言ってくれた。

泣きながら私は、自分に足りないものを考えていた。



それから半年、資格をとるために

働きながらスクールに通った。


あれから六年。

今も同じ職場に居る。



ただ、あの女上司とは、一度も顔を合わせていない。

7/12/2024, 8:58:01 PM

これまでずっと…



刑事もののドラマが好きでよく観る。

日常に起こらない謎解きをする。

犯人の心理など読み解くのが好きだ。



しかし、日常生活で防犯カメラの位置を

つい確認する自分に気づく。



ドラマの中の犯罪者に寄り添いすぎて

疑似犯罪者になっている。



で、またまた気づく。

白バイや警察官を異常に気にする自分…



日常の積み重ねってコワい。

7/9/2024, 2:15:01 AM

街の明かり…



高校を卒業して就職した年に

先輩の車に乗せてもらったことがある。

夜の街は暗かった。

「目を開けるなよ」と言われ

車がどこかに停まるまで

私は目を閉じていた。



「いいよ」の合図で目を開けると

そこは山の上

眼下には無数の光の粒。



とてもとても綺麗だった。

何万ドルの夜景か

それよりも私を喜ばせようとした先輩の気持ちが嬉しかった。




その日から七年が過ぎて私は結婚した。

あの日に先輩が見せてくれた光の粒のひとつに

私は今住んでいる。


私の明かりは、誰かの心を震わせることがあるだろうか。

7/6/2024, 11:23:20 PM

友だちの思い出…


思い出というか、現在進行形の話だ。



スマホでマンガを読んでいる。

その続きが気になったが課金マークが…。



そこで、ポイ活をすることにした。

アリを育てるゲームに決めた。簡単そうに思えたからだ。



初めのうちは順調に進んだが

数日でボコボコに攻撃された。そういうゲームだから。


そうこうしていたとき、コロニー(チーム)に誘われた。

見知らぬ韓国語の人だった。

断る理由がなく入れてもらった。


コロニーにも少し慣れ、戦いに参加したりした。

しかし、なにしろ不慣れな上に老眼で小さい字が読めない。

細かい注意書きも読まず、コロニーのルールを破ってしまった。


すると、カンボジア語の人からメールが来た。

率直にダメなところを注意してくれていた。


どう返事をしたらいいか、謝るのか、それも変か。

「了解しました。ありがとう。」

考え考え、返事を書いた。


にっこりマークの絵文字で返信が来た。



こんな感じに四苦八苦しながら楽しんでいる。



友だちとは言えないかもしれないが、

親切にしてくれてありがとう。

7/3/2024, 9:33:02 PM

この道の先に…



子供には通学路というのがある。

そういうのをほぼ守らない子供だった。



ある日の帰り道

随分遠回りして、初めて通る道だった。

ボールのぶつかる音がして、そちらを見ると

同級生のT君が、テニスの壁打ちをしていた。

彼とは一度も話したことがなかった。

声をかけるでもなく遠くに見ながら通り過ぎた。



少ししてT君は転校した。

その後、テニスの大会に出て、準優勝したと

クラスメイトが騒いでいた。



人知れず練習していたT君の姿は、とても良いと思った。

しかし、私はそれを誰にも言わなかった。

人知れずする努力は、誰にも知られてはいけないのだ。



結局、T君とは一度も会話しなかった。

今、どこかで偶然会ったとしても、きっとわからない。

けれど、あの日に偶然見た努力は、一生忘れないだろう。



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