合わない人が居た。
けれど、立場上
その人と仲良くしなければならなかった。
三十年 苦しんだ。
キライキライもスキのうち?
ダメだった。
どうしてもダメだった。
三十年たった。
誰かが言った。
「いいんじゃない?キライでも。」
私は 自分を許した。
その人を キライになっても良いと。
無理に合わせなくて良いと。
すると 不思議なことが起きた。
その人との関係は全く変わっていないのに
私は とても 楽になった。
イヤミを言われたり意地悪をされても
何とも思わなくなった。
一歩 離れてみれば
スキとかキライとか どうでも良いことだった。
自分を苦しめてきたのは
自分自身だったかもしれない…
もし、苦しい人が居るなら
今度は 私が 言おう。
いいんじゃない? キライでも。
恋、愛
テーマ大っきいな。
あにょはせよ
かぴ ちゅせよ
なんて かわいい 言葉だろう。
もっと わかるように なりたいな。
巡り逢い……
昔の処刑場の跡地に美術博物館ができた。
そこにはプラネタリウムがあって
プラネタリウムを見たことがない田舎の娘二人が
ある夏に200円のチケットを買った。
天井を見上げる椅子に並んで腰掛けて
暗い部屋の中で二人は 星のお話を聞いた。
帰り道、Kちゃんは怒っていた。
「もう二度と Hちやん(私) とは来ないから」
私は黙っていた。
「いびきかくとか ありえんわ」
申し訳なさすぎて謝ることもできなかった。
Kちゃんとは その後も友達だった。
ご飯やカラオケには行ったが
二度とプラネタリウムには 行かなかった。
Kちゃんは 十年前の春に
本物の星になってしまった。
私がいつか星になったとき、
空のどこかで Kちゃんに逢えるだろうか…
遠くの声…
私は人ごみが苦手だ。
買い物に行くだけで ひどく疲れる。
コミュ障?
そうかもしれない。
コミュ障に年齢は関係ない。
そんな中、先日のことだ。
同年代の異性と二時間二人きりに…
声が良い人だった。
頭がハゲていて、手で頭皮を触るのが癖のようだ。
彼が触ると、頭皮は少しシワを寄せ
そのシワを かわいいと思う自分がいる…
恋……???
いやいやいや 違うだろう。
思春期なら、恋していたかもしれないなぁ。
かわいいは、恋の理由にちゃんとなる。
そんなことを思うと、
心の自由だった頃が懐かしい。
遠い声の記憶……
上書きする勇気は
今の私には もう無い。
ひとひら…
3歳くらいだったか…
一度だけ、ピアノを習ったことがある。
習った……?
大きなピアノの前の椅子に座った。
先生が隣に座って
彼女は やさしく言った。
「手は、タマゴを持つようなかたちにしなさい」
私は、タマゴを持つ自分を想像した。
そして、一生懸命に その手の形を作った。
「だから、タマゴを持つように!」
先生の声は だんだん大きくなった。
どこが悪いのか全く わからなかった。
ついに私は先生の気に入る形の手を作れなかった。
泣いたか泣かなかったか…
ピアノの記憶はそこで途切れている。
言の葉 ひとひら…
されど ひとひら…
私の手はとても小さかった。
大人がタマゴを持つのと、3歳の子が持つのとは違う。
タマゴを持つ以外の手のかたちを言ってくれていたら
今ごろ私は
ピアニストになっていたかもしれないのになぁ
……ないか。