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街の明かり…



高校を卒業して就職した年に

先輩の車に乗せてもらったことがある。

夜の街は暗かった。

「目を開けるなよ」と言われ

車がどこかに停まるまで

私は目を閉じていた。



「いいよ」の合図で目を開けると

そこは山の上

眼下には無数の光の粒。



とてもとても綺麗だった。

何万ドルの夜景か

それよりも私を喜ばせようとした先輩の気持ちが嬉しかった。




その日から七年が過ぎて私は結婚した。

あの日に先輩が見せてくれた光の粒のひとつに

私は今住んでいる。


私の明かりは、誰かの心を震わせることがあるだろうか。

7/9/2024, 2:15:01 AM