「心と心」
人と人との繋がりには、沢山の種類がある。
愛情、友情とかの、心で繋がる関係。
お金、利便性、体面等、打算で繋がる関係。
悪縁、状況により切れない繋がり等、お互いの意思に関係なく繋がれた関係。
いろんな繋がり方があって、それぞれに良い面も悪い面もある。
でも、やっぱり私は、心と心で繋りたい。
どんな関係でも、行き違ったり、状況が変わったりで、その気になれば簡単にその繋がりは切れてしまう。
でも、心で繋がっていれば。
勿論、心で繋がってても切れてしまう事はある。
でも、その心が互いに本物ならば。
そうしたら、又いつか、その関係を紡ぐ事が出来ると思う。
やり直しが、出来ると思う。
それに、やっぱり心で繋がるのが、相手に対して一番誠実でいられると思う。
裏切られる事もあるし、腹が立つ事も、馬鹿を見る事もある。
でも、私は人に対して誠実で居たいから。
だから、これからも、心と心の繋りを紡いでいきたい。
「何でもないふり」
家のシロが、ブロック塀の上を優雅に歩いてる。
ゆっくりと、効果音をつけるなら「しゃなり、しゃなり」って感じで。
やっぱ猫って、狭い所得意なんやな、凄いな~と思って見てたら。
突然後ろ足を踏み外してガクンってなった。
すぐに体勢立て直して、落ちずには済んだ。
で、後ろを振り向いて、私が見てる事に気付いた。
そんで、まるで何事もなかった様な顔をして歩いて行った。
でも、私は知ってる。
物凄くビックリしてたやろ?
平気な顔してるけど、お尻尾がとんでもなく太くなってて、表情を裏切って「私、ビックリしました!!」って言ってたよ?
歩いて行った先で、自分を落ち着かせる為に、もの凄い勢いで毛繕いもしてたよね?
そんな、鈍臭いところも又、堪らなく可愛いけど。
シロ、大好きだよ。
「仲間」
いつも一緒に遊んでたあの子達。
ちょっとした諍いで、次の日からは私だけがあの子達の敵になったらしい。
無視、悪口、空気扱い。
よくもまぁ、こんな幼稚園児みたいな、拙い、馬鹿らしい事を思いつくな、って思うような嫌がらせ。
昨日までは仲間だと思ってたのに、どうして?
辛くて、悲しくて、悔しくて。
でも、一人でご飯食べてる所とかも誰にも見られたくなくて。校舎の陰で一人でこっそりと泣いてた。
「どしたん?」不意に声をかけられて。
話した事のないクラスメイト。
誰とでもそれなりには喋るけど、誰とも仲良くはない、あの子。
教師受けは、良いか悪いかの二択で、良くも悪くも目立ってる、あの子。
いつもマイペースで、人の視線なんか怖くない、って顔して、いつも堂々としてる、あの子。
何も言えない私。
あの子は黙って横に並んで。
「まぁ、何となく状況は掴めてるけど······」
「無理には話さなくていいよ?ただ、話したくなったら、私で良ければ話聞くし?」
「でも、とりあえずこれだけは、私が言いたい!!」
「あいつら、あんたの仲間でも友達でもないと思うよ?そんな奴らの為に傷付くの、勿体なくね?馬鹿らしくね?私、ツルまないと動けん奴ら大嫌い。」
「良かったやん、これであの子らと縁切れたと思ったら、ラッキーだよ?世の中には縁切り寺とかまで行って縁切ってる人もいるらしいのに、向こうから悪縁切ってくれたやん。超ラッキーやと思うけど。」
ぶっきらぼうだし、口も悪いけど、慰めようとしてくれてるの?って思ったけど。
でも、違う。
いや、違わないけど、多分慰めようとかより、多分この子普通に本音話してるだけだわ。って気付いたら、思わず笑っちゃった。
これが、私とこの先一生の友達に、仲間になる、あの子との始まりだった。
あの時の事、ホントに嬉しかった。
ありがとう。
「手を繋いで」
貴方と初めて手を繋いだ日。
映画館で、貴方の手が少し触れて、その後慌てて引っ込めてたから、触れたくないのかな?って思ったよ。
そしたら、何度かそんな事があって、何度目かには「ぎゆっ」って。
もう私は映画館どころじゃなくて。
貴方はどうなの?と思ってそっと貴方を盗み見たら、貴方は真っ直ぐスクリーンを見てたけど、暗くても分かるくらい耳まで真っ赤だし。
そんな貴方を見たら、何だか私は逆に落ち着いちゃって、そこからはゆっくり映画を楽しんでた。
あれから何年もの時が経って。
今でも貴方とは手を繋いでる。
あの時よりはゴツゴツとして、家族の為に、一生懸命働いてくれてる、手。
そして、もう片方の手には、温かな、強く握ると壊れそうな、ちっちゃな、可愛い手。
紅葉みたいな手と、りんごみたいなほっぺた。
舌足らずに「まま」って呼ぶ声。
ホントに、心の底から幸せだな、って思える。
どっちも私の大切な、存在。
これからも、よろしくね。
「ありがとう、ごめんね」
ごめんね、の類義語の「すいません」は、よく「ありがとう」の意味で使われてる。
人に何かをしてもらった時、人に通路等で避けてもらった時、順番を譲ってもらった時。
いろんな場面で。「ありがとう」の代わりに「すいません」が活躍してる。
でも、私は「すいません」より「ありがとう」の方が好き。
勿論、謝罪の時の「ごめんなさい」や「すみません」は大切だから、謝罪するべき時はそれでいいと思う。
でも、ありがとうって言う時はありがとうで良くない?って思う。
私は、「ありがとう」って魔法の言葉だなって思ってて。
言った方も言われた方も嫌な気持ちにならないし、両方が嬉しい気持ちでいられる。
全ての人に対してプラスの言葉だと思う。
でも、「すいません」は、加害者と被害者、与える人と受け取る人、とか、逆の立場の人が出来ちゃって、必ずしも皆に対してプラスの言葉じゃないと思う。
まぁ、シチュエーションによってはそうでない場合もあって、ありがとうが、「口先だけかいっ!!」って、余計に腹立つ時もあるけど。
でも、基本的には心から出たありがとうは尊いと思ってて。
だから、折角その魔法の言葉を使えるチャンスに、「すいません」って言ってしまうのは、勿体なく感じる。
たかが言葉一つだし、込められた気持ちは一緒なんだけど、でも言霊ってあると思うから、少しでもプラスの言葉を口にした方が、お互いにいいと思う。
私が気にし過ぎで、自分でも理屈っぽいなぁ、とは思うけど。これからも私は「ありがとう」を沢山言って生きていきたい。