秋色
南国の秋は短い。
夏と冬が近すぎるのだ。
南国生まれではない母は、いつも「秋がない」と嘆いていた。
それでも道端に彼岸花が咲きはじめ、金木犀が空気を香りで覆う。
イチョウが色付いて、金色の絨毯が広がる。
夏とも冬とも違う、なんともいえない一瞬の陽気。
日が暮れるのが早くなり、夕焼けの色が濃くなる。
なぜか穏やかな気持ちにはならず、少し焦りを覚えて落ち着かない季節。
秋色に染まる世界は美しいけれど、どっちに行ったらいいのか分からず戸惑ってしまう。
でも、嫌いではないんだよ。
今年も暑さをぬけ始めた。
もうすぐ来る秋をドキドキしながら今年も待っている。
靴紐
靴紐を結べるようになった時は嬉しかった。
きれいに結べることを誰かに自慢したくて仕方なかった。ほどけない結び方は?とか色々考えながら結んでいた気がする。
紐の靴に慣れてからは、マジックテープは履かなくなった。高校生までは、いつも紐のスニーカーを履いていた。
でも、大人になると自分の靴箱には紐の靴が見当たらない。
スリッポンやブーツ、サンダル。
スニーカーも紐のないものばかり。
いつのまにか簡単に履けるものばかりになっている。
なんだ、せっかくできるようになったのに怠けているな。
次回は紐の靴を買うことにしよう。
答えはまだ
ここ3年くらい、ぐるぐると考え続けている
このままでいいのか、私は何がしたいんだ。
あれやこれや始めてみるけれど、答えはまだ見つからない
でも、少しわかってきたことはある。
私は何にもならない。私は私なんだと。
そこもまだ漠然としていてうまく説明はできないが、何をやってもやらなくても私であるということに変わりはない。
気づいたとき、少し楽になった。
大したことない、私だもの。
それでいいのだ。
これからも悩んで、迷って私をやっていこう。
その先に何になるのかならないかは、今はまだお楽しみだ。
君と見上げる月
暗い空を太陽のように照らす満月
木の影も君の影もはっきりと見えて、街灯のないころはこんな月明かりで外を歩けていたんだろうな。
「月探検にいこうか?」
小さな君の手を引いて、満月の夜に繰りだす。
田んぼの真ん中を歩き、さらに街灯のないところへ。
「お母さん、月眩しいね!」
君の大きな目に、月が映る。
小さな手が月をつかもうとする。
「お団子買わなきゃね」
「そうだね、来月の満月の日はお団子持って月探検に
行こうか」
家に戻り、すやすやと眠りにつく君。
さっき君と見上げた月は、カーテンの下から君の寝顔を照らしているよ。
空白
1日中ぐるぐる考えているけど
何もしなかった日
体は空白だらけだけど、頭の中には隙間がない
動かないといけないと分かってはいるけど
動かない体
一体、この体の主はだれなんだ?