秋色
南国の秋は短い。
夏と冬が近すぎるのだ。
南国生まれではない母は、いつも「秋がない」と嘆いていた。
それでも道端に彼岸花が咲きはじめ、金木犀が空気を香りで覆う。
イチョウが色付いて、金色の絨毯が広がる。
夏とも冬とも違う、なんともいえない一瞬の陽気。
日が暮れるのが早くなり、夕焼けの色が濃くなる。
なぜか穏やかな気持ちにはならず、少し焦りを覚えて落ち着かない季節。
秋色に染まる世界は美しいけれど、どっちに行ったらいいのか分からず戸惑ってしまう。
でも、嫌いではないんだよ。
今年も暑さをぬけ始めた。
もうすぐ来る秋をドキドキしながら今年も待っている。
9/19/2025, 3:16:19 PM