仲間になれなくて
仲間になれなくて
やりたくないドッジボールをやってみる
それでも仲間になれなくて
人数足りないからと誘われたらサッカーもやってみる
まだ仲間になれなくて
土曜日の秘密基地探しに参加してみる
やっぱり仲間になれなくて
好きでもないキャラクターを可愛いとか言ってみる
今なら言ってあげられる。
無理して仲間にならなくていいんだよ。
自分の好きなことが分からなくなるくらい、人に合わせなくたっていいんだよ。
図書館へ行って、本を借りておいでよ。
君がやりたい事を、思いっきりやりなよ。
仲間ってなんなんだろ。
信号
子供の時、うちの町の信号は夜の9時になると点滅になった。今はどうやら11時くらいまでは頑張ってるみたいだが。
私の住んでいた家の前には国道があり、向かいは祖父母の家で、よくそこて夕飯をご馳走になった。
帰り道はその点滅した信号を無視して右左の確認をし、道路を渡るだけ。
その時に、父が手を繋いで.よくおまじないをかけてくれた。
「鼻の油をちょいとつけて〜」
と言いながら自分の鼻をちょっと触り、私の鼻にちょこんと触れる。
普段はいない父と触れ合う数少ない時間だった。
そして、そのおまじないが何に効くのかはわからないがとにかく嬉しかった。
そのおまじないは、幼かった私をきゅんきゅんドキドキさせて、今の私には、泣きたくなるほどの想い出として魔法をかけていたのだ。
鼻の油をちょいとつけて〜
言い出せなかった「」
言い出せなかったことはたくさんある。
自分がこどものころは
「お母さん、私髪の毛のばしていい?」
「お父さん、たまには一緒に夕飯食べたいな」
「私、部活辞めたいんだよね」
自分が若いころは
「もっと連絡してよ」
「なんで友達とばっかりでかけるの?」
「何のために私と付き合ってるの?」
今は
「たまには手伝ってほしいなぁ」
「そこに靴下ぬがないでー」
「洗濯物くらい入れておいてくれたらいいのに」
子供の時は、言い出せなかったことが多かった。
今は、あえて言わないようにしてる事が多いのかもしれない。
ページをめくる
私の指は太い。そして先っぽはヘラ型。爪は小さい。
母の指は白くて、細くて、綺麗だった。
子供の頃、隣に座ってよく一緒に読書をした。
母がその指でページをめくるのを見ると、羨ましくて仕方なかった。
何で私の指はこんなに太いんだろう。
雑誌に載っていた指の体操をしても、マッサージをしてもちっとも細くならない。
こんな手じゃ絵にならない。
そのコンプレックスはいつもあって、綺麗な指の友達を見ると惨めな気分になった。
人に物を渡したりするのも、授業で立って教科書を読むのも、体育のフォークダンスで人と手を繋ぐのも苦手だった。
大学に入って彼氏ができた。
男だけど、細くて白くて長い指。
やっぱり私は自分の手を堂々と出すことはできなかった。
ある日2人で指輪を買いに行ったら、何と私の方がサイズが大きかった。
彼は気にしてなかったけど、私は恥ずかしくて惨めで自分の手を呪った。
店員さんにも笑われている気がした。
あれから何年も経ち必死で子育てをしていたので、そんな感覚忘れていた。
いや、仕事でパソコンを使う時に誰かが近くにいたり、横の人の手が綺麗だったりすると多少は思い出してはいる。
でも、以前ほどは気にならなくなったということだ。
この手はもう。最後のときまで私と一緒だ。
急に細く白くなることはありえない。
それでも私は、大好きな本のページをめくる事ができる。それで十分幸せじゃないか。
今まで嫌ってばかりいてごめんよ。
これからも一緒にたくさんのページをめくっていこう。最後まで、どうぞよろしくね!
お題を見て、そんなことを思った日。