スナエ

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9/28/2023, 10:09:40 AM

 何故、引っ越すオレのところに君が来たのか分からない。
 君は、何かを言いたそうで。でも、絶対に言わなそうで。変だ。
「さよなら」と言ったら、君は悲しそうな顔をする。
 ただの知り合い相手に、どうしてそんな表情をするんだろう?
 オレはオレで、その疑問は口にしなかった。

9/27/2023, 10:28:55 AM

 雨に降られて、オレは煙草屋の店先で足止めを食らった。
 どうして、こんな目に遭うんだか。雨は嫌いだっつってんのに。
 雨脚が強くなり、いよいよ立ち往生するしかない。
 そこに、おまえが通りがかって、オレに傘を差し出してくれた。
 いつでも傘になってくれるって、マジだったのか。

9/26/2023, 10:08:27 AM

 読書の秋。ふたりで、座った姿勢でお互いの首元に腕を回し、本を読んでいる。
 オレは、いつも通り哲学書で、おまえは推理小説。
 キルケゴールが、オレに「絶望」について語りかける。
 一方、おまえは、どこかの名探偵と一緒に事件の謎を追っている。
 だけど、オレたちは一緒にいて、あまつさえ抱き合っているワケで。見てる世界が、あまりにも違うけど、物理的な距離はない。
 不思議な読書会は続く。

9/25/2023, 10:06:57 AM

 病室の窓は、ほんの少ししか開かないよう作られていた。患者が逃げ出さないようにだろう。
 精神科病棟の一室で、オレはひとりで考え事をしている。
 また居場所を失くすんだな。
 窓の外は、暗雲が立ち込めていた。
 オレの先行きを暗示しているかのようだ。
 上から処分が下されるまで、オレには何が出来るのだろう?

9/24/2023, 10:20:57 AM

 それは目に見えず、触ることも出来ないもの。
 でも、確かに受け取ったもの。
 両親から。祖父母から。おまえから。
 だから、オレもそれを返したい。
 オレには、作れないと思っていたもの。
 だけど、最近は不恰好だけど作れるようになったんだ。
 今日も、この一粒の光を、おまえに捧げる。

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