スナエ

Open App
8/19/2023, 11:38:51 AM

 今日の天気は、雨。頭が痛い。
 ここぞとばかりに、おまえにもたれかかってみる。
 おまえは何も言わずに、オレの頭を撫でた。
 甘やかされてる。と思う。
 オレは身を捩って、おまえに抱き付いた。ソファーが少し軋んだ。
 おまえが読んでいた本を置くのを見て、目を閉じる。
 雨音が大きく聴こえた。

8/18/2023, 10:09:11 AM

 鏡を覗くと、たまに“あの女”がいる。
 オレの分身になりかけていた女。
 なあ、オレが女だったら、よかったのか?
 おまえは、「そんなことない」って言うんだろうな。
 オレを一番認められなかったのは、オレだ。昔かけられた呪いのせい。異性愛以外は異常だって。
 歪な心を持っていると思った。化物なんだと思った。
 でも、違う。オレは、ただの、おまえのことが好きな人間だ。

8/17/2023, 10:06:52 AM

 捨てられずにいる、100円のライター。安っぽくて、その実安い。どこにでもありそうなもの。
 おまえが、オレに初めてくれたもの。だから、特別で、大切なもの。
 気持ち悪いほどの情念を抱えている。その癖、本心を誤魔化し続けているから、性質が悪い。
 でも、この想いは、人ひとりを殺すのに充分な重さだから、煙に巻いている。

8/16/2023, 10:09:38 AM

 息子は、とっても良い子なんです。
 小学校はあまり好きじゃないみたいだし、お友達作りも得意じゃありませんけれど。
 よく、夫の本棚から、哲学書を借りて読んでいます。
 たまに、私にだけ歌を披露してくれます。
 お義母さんとお義父さんにも優しくて、可愛いんです。
 私たち家族の宝なんですよ。
 素直な良い子です。

8/15/2023, 10:14:27 AM

 夜の海は、静かで、入る前から深海にでもいるかのよう。
 それでも、オレは海へ足を進めた。
 海水が胸まできたところで、おまえのことを思い出してしまい、泣いた。小さなガキみたいに泣いた。誰も聴いてないから、泣ける。
 ほんの少し海を増やしながら、オレは進む。
 とぷんと、全身が水の中に入って。ふと、見上げた先には、月の光があった。
 月のように優しいおまえを傷付けるのは、これが最初で最後だから。

Next