スナエ

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7/5/2023, 10:08:09 AM

 星が綺麗な夜。月は出ていない。
 空を見上げて、オレは何かを忘れている気がした。
 月のように優しい、何か。とても大切なこと。
 美しい夜空なのに、どこか寂しい。
 心に引っかかっているものが、ひとつ。それは、君のこと。全然親しくもない、君。
 ねえ、オレたちって関係ないよね?
 ベランダで吸う煙草の香りが一種類なのが、何故だか変な気がした。

7/4/2023, 10:05:43 AM

 神様は死んだって。真理を抱えたまま、死んでしまった。
 だから、哲学者たちは、それに辿り着こうとしてきた。
 オレは、しがない哲学オタクである。真理に至る気はない。答えを出すのが苦手だから、哲学をこねくりまわしているに過ぎないんだ。
 ただ、オレは、おまえが神様だったらよかったのにって、くだらないことを考えている。

7/3/2023, 10:05:41 AM

 歩いている。この道が辿り着くところは、崖。
 そして、オレは、崖から飛び降りた。
 最期に思い浮かべたのは、やっぱりおまえの顔で。我ながら、大好きだなぁ、と思った。
 その大好きな人を、オレは悲しませるんだ。
 ごめんな。ありがとう。さよなら。そんな、つまらない言葉だけ遺して。
 どうか、オレを「救えなかった」と思わないでくれ。オレは、充分救われてたんだ。

7/2/2023, 11:30:44 AM

 日の光が嫌いだ。
 でも、おまえは月の光だったから、好きになれたんだと思う。
 日の光は、容赦がなく、オレの影を濃くする。過去の傷も、底にある闇も、照らそうとする。無遠慮な光。
 だけど、日に向かって咲くひまわりが、おまえみたいでさぁ。
 オレは、日の下から逃げられずにいる。

7/1/2023, 10:15:22 AM

 小さな世界。それは、家の中。
 少年は、自らそこに籠っていた。
 そこには、家族がみんな揃っていて、安心する。哲学者の父と、音楽教師の母。優しい祖父と祖母。
 穏やかな日々。不登校気味な少年に、家族はとくに厳しいことは言わなかった。
 ある日、「いってきます」と言い、それぞれの職場へ向かった両親は、帰って来なかった。
 ほどなくして、祖父母は親戚の元へ身を寄せることを提案する。しかし、彼は断った。
 この世界が廃墟のようになるのが嫌で。ふたりが帰るところが無くなるみたいで。
 独り、閉じた世界に残る。
 ふと、窓の外を見ると、君がいた。

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