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10/12/2025, 12:52:54 PM

「どうして流れ星に願い事をするの?」

隣にいるキミとベランダに出て、煌めく星たちを眺めていたら、不意にそう聞かれた。

「え…急にどうしたの」

「だってさ、どうせ宇宙の彼方に消えていくんだよ?意味ない気がする…」

「ふふ。そう考えると願い事って儚いよね」

そう話しているとキラッと一筋の光が走った。

「あっ!ねぇ!今見た!?すご…めっちゃ綺麗」

「ホントだね…」

さっきまで迷信を信じていなかったくせに、見えた瞬間、目を輝かせてはしゃいでいる。

「なんて願い事する?」

「もし君がこの空に迷っても、絶対見つけ出して傍にいたい」

「っ、え?」

普段こんな情熱的なことを言わないキミに、少し驚く。ちらっと横にいる恋人を見ると、星を見つめたまま平然としているが耳が赤くなるのが分かった。

「…流れ星に絡めてみたらこうなるのかな、って。う…なんか恥ずい」

「えぇ〜めっちゃ嬉しかったよ?」

笑ってみせると、頬を赤らめながらもつられるように微笑んだ。

「じゃあ、あんたは何て願い事する?」

「ん〜?秘密」

「ええー?けちー」

ははっと笑い合い、ああ、この時間がいつまでも続けばいいのに…と思った。まあ、自分の願い事は――恋人の言葉を借りるなら
"この空で出会った君をどこまでも守ってみせる"
かな…なんて。
ゼッタイに言ってやらない。

10/8/2025, 11:57:18 AM

隣で酒に酔ってふにゃふにゃしている俺の恋人は、もう可愛くて仕方がない
今までこういう姿を他の人に見られていたら…と思うと嫉妬で壊れてしまいそうになる
「しょおくん」
貴方が可愛く舌っ足らずに言うときは、甘えたいときなんだって知っている
「なぁに?」
首をかしげ、その火照った頬をそっと包む
「おれ、しょおくんがいないとダメ」
潤んだ瞳でそう言われ、腑に落ちるものがあった
「俺もだよ智くん」
多分、俺は智くんほどかわいい感情でそう思っていない…他の人と笑い合ってると俺だけを見てくれればいいのにって思うし、その声で他の誰かを呼ぶなんて考えたくもない
いっそのこと、この部屋の中に閉じ込めたい…俺だけを見て欲しい…
「んふふ…そうしそーあいだね、おれら…」
眠気が襲ってきたのか、瞼を閉じ、こてっと胸の中に倒れ込んだ
抱きしめながら、一生この腕を離したくないと思った

9/28/2025, 1:17:37 PM

俺の恋人は仕事が出来て、イケメンで、誰にでも優しくて、でもおっちょこちょいで。誰からにも愛される人だ。
一方で俺は不器用でかっこよくもない。人付き合いも悪い…。
だから、彼を遠くから眺めておくだけで十分だった。自分とは不釣り合いだと思っていたから。
でも、告白してきたのは翔くん、あんたからだった。高2のとき…そうそう、放課後に誰もいない教室で…まるで漫画みたいなシチュエーションだったなあ。告白の言葉は…

「あの、さ」
「な…なに?急にどうしたの」

「俺、あなたが好き」

その瞬間、時が止まったような気がした。真っ直ぐな瞳で見つめられ、冗談なんかじゃない、本気なんだって分かった。
「………」
「え…ちょ、え?おーい??」
衝撃過ぎてずっと黙っていたら、焦っているのかずっと言葉をかけてくる。
「…お、れも好き…」
そう言ったら一瞬驚いたけど安心したのかほほ笑んで
「良かった。こんな俺でもいいなんて…これからよろしくね」
背中に手がまわり、ふわっと抱き寄せられた。
爽やかないい匂いが鼻腔をくすぐる。落ち着く。自分も恐る恐る背に手を伸ばした。
それにしても、何故俺のことが好きになったのか…魅力なんてどこにあるのだろう。疑問に思い、抱きしめられたまま聞いてみた。
「ねぇ…俺のどこが好きなの」
「え?全部だよ。ふにゃっと笑う可愛い顔、考えるときに唇を噛む癖があるところ、授業中なんて関係なくよだれ垂らしながら寝ちゃうところ…ずっと目で追いかけてた」
そんなに見られてたなんて、全然気づかなかった。
好きな人に言われると、恥ずかしすぎて顔が熱くなってしまう。よかった。顔が見られていなくて…。
「そ、そっか」
「ふふ、うん。大好きだよ」


昔のことを思い出していたら、恋人は目の前でコーヒーを飲みながら「なんか良いことでもあった?」なんて聞いてきた。
「んふふ…どうだろうね」
「えーなになに?教えてよ」
「秘密ー」
そう言うと、眉毛を八の字にして笑った。
この幸せがずっと続けばいいな

9/27/2025, 1:23:03 PM

終電に乗って帰ってきて家に着いた瞬間、壁に手をつき、倒れるようにドサッと床に座った。
人生に疲れた…。最近は何をしても駄目だ。
自慢ではないが顔が良かった俺は、学生のとき、妬み恨み嫉みすべてを経験してきた。面倒くさかったから無反応を貫いていた。陰口を言われたって、度が過ぎる悪戯をされたって、どうでもよかった。

でもある日突然、何かがプチッと切れた。限界が来たんだ。生きる意味をなくした。もう嫌になった。
用意していたロープを、椅子の上に立って天井にくくる。ただ、俺は後悔を残してこの世を去りたくない。椅子に立った状態で、ズボンのポケットからスマホを取り出す。メッセージアプリをタップし、幼馴染とのトーク画面を開いた。


智くん
こんな夜遅くにごめんね
俺、貴方が好き
恋愛の意味、として
突然すぎるかな?
男からの告白なんて気持ち悪いよね
昔から貴方を見ていて、いつの間にか気づいたんだ
これは恋なんだって
ふにゃっと笑ったその顔を見てドキッとするし、真面目に考えてるとき無意識に唇を噛んでいるのが可愛いし、穏やかな表情してるのにやってることはワイルドで…
好きなところを挙げたらキリがない
告白するの、こんなに遅くなっちゃった
俺は小心者だから告白の返事は聞きたくないな、なんて笑
じゃあ、またね


送信し終わり、スマホの電源を落とす。
暗い画面にポタポタと落ちてくる。涙だ。なんの涙だろう?無事告白できて安心したのかもなあ…ふふ。良かった。これでもう、この世にやり残したことはない。
ロープでできた輪っかに、頭を通す。


俺は椅子を蹴った。

9/14/2025, 1:48:07 PM

日が暮れて星々が輝き出した頃、急に俺の愛しい人…智くんから電話が掛かってきた。いつものあなたならこんなコトしないから少し驚いた。手に取り、すぐ「応答」のボタンを押す。

『…もしもし、しょおくん』

いつもの優しい声が聞こえて、思わず頬が緩む。

「どうしたの?智くん。こんな遅くになんて珍しいね」
『ふふ、ちょっとね。一緒に見たくて』
「どういうこと?」
『窓、開けて。今日の空、翔くんに見てほしいから』

そう言われ、カーテンを開け、夜空を見上げた。

「きれい…」

思わず、そう呟いた。星々が真っ暗闇を照らし、キラキラとめいいっぱい輝いている。特に月が存在感を醸し出していて、その美しさに呆然としてしまう。

『ね、翔くん。あんなにおっきくてキレイな月ってあるんだね』

俺と同じように感動している、智くん。恋人なら、同じ気持ちや景色を共有したいと思うだろう。今日の夜空を見てそう感じてくれたのだろうか…。

「そうだね。綺麗だ…」

この神秘的な夜空と、溢れんばかりの星たち。そして…艶めく月。


君には、どう見えているのかな

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