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昨日の夜、電話で翔くんが
『智くんとお正月過ごしたい』
とか言って、ほいほい予定を決めやがった。
神社でお参りしたい、と。
普通に実家にいた俺は、急に予定が入ったせいでもう自分ちに帰らなくてはならなかった。あったかい部屋でゆっくりまったり過ごしたかったのに、誰かさんのせいで外に出る羽目になってしまった。

断れない自分が憎い…。

昔からそうだ。翔くんの押しに弱い俺は、同じ高校に行きたいからってあんまり勉強できない俺に付きっきりで教えてくれたし、サッカーをやりたい(なんで2人で?)って毎週練習場に連れて行かれたし…。
なんでか翔くんは、ずっと俺と一緒に過ごしていた。勉強もスポーツもできて誰にでも優しく、おまけに顔まで良いから、クラスの人気者だった。なんであいつが…って俺のことを毛嫌いしてるヤツもいたけど、翔くんは
『あんなヤツら、気にしなくていいよ』
ってすんごい笑顔で言われたなあ。
…と昔のことを思い出していたら約束の時間が迫っていたので靴を履いて集合場所まで走った。

待ち合わせ場所が見えてくると、ひとり、寒そうに手を擦り息を吐いているやつがいた。
「しょおーくーん!」
傍まで走って、膝に手をつきはあはあと息が漏れる。
「ゴメン、待った?」
「ううん、今来たとこ」
息も落ち着き、上を見上げると何故か頬が赤くなった翔くんの顔が。
「智くん…今のなんか、恋人みたいだったね」
…何言ってんだこいつ。

参道にはたくさんの人でごった返していた。
「うわ、人でいっぱいだね」
「うん…とりあえず並ぼっか」

やっとあと数人、といったところまで来ると
急に翔くんが流石に分かるよね?と聞かれて、なんだよと返すと
「智くん、二礼二拍手一礼ね」
と言ってきた。
「にれいにはくしゅいちれい…」
うん。大丈夫、全然わかる。

とうとう自分たちの番だ。お賽銭を入れ、ちょっと薄目で翔くんの方を見ながら、にれいにはく…とかいうのをやった。

帰り道。神社でおみくじを引いたり屋台で売ってたりんご飴を食べたり、それなりに満喫してしまった。いや、別にいいんだけど。
「そういえば智くんはなんてお祈りした?」
「俺は…別に。ふつーだよ」
言いたくない…言ったら恥ずかしいもん。翔くんに絶対からかわれる自信ある。
「え?なになに?普通って」
ニヤニヤと俺のことを見てくる。こんな感じでイケメンなの、許せん。
「べ、別に俺のことはどうだっていいから。翔くんは?」
「ん?智くんとずーっと一緒にいられますように」
「っ、え」
多分、今、俺、顔が超赤いと思う。翔くんの方向けない。てか、なんか言えよ。なんで何も言わねえんだよ。
…気まずいまま、隣を歩いて一瞬、手が触れた。そのまま、ぎゅっと握る。

神様、どうやら、もう願いは叶ったようです。

1/6/2026, 1:15:05 PM