8/2/2024, 11:58:36 AM
病室
白いカーテンが揺れた。眩しい光と生温い風が枯れた肌を撫でる。それは、一人朽ちる私を慈しむようだった。
日々家
8/1/2024, 12:16:12 PM
明日、もし晴れたら
明日、もし晴れたら君の記憶が散らばる街を見たい。
君と食べたアイスクリームをたべたい。
君を探してしまう前に、帰りたい。
日々家
7/31/2024, 11:45:31 AM
だから、一人でいたい。
「私に近付く人にはいつも隣に誰か居て、最終的にはみんなその人の所に戻りました。だから、一人でいたいのです」
そう言って彼女は笑う。僕は手を差し伸べて「僕はそんなことしないさ」とどこかの王子にでもなったつもりで言った。
彼女は僕をじっと見つめてから、子どものいたずらを見つけた母親のような顔をしてその手を軽く払いのける。
「貴方もそうよ、伊吹さん。貴方既婚者でしょ?」
形の良い唇から背筋の凍るような声が出た。僕は抜かりなく外した筈の指輪をはめていた指を確認する。彼女は呆れた溜め息を吐く。それを聞いた瞬間、自分が鎌をかけられた事に気が付いた。
「もう騙されるのは懲り懲りなの」
そう言う彼女の目は、ゴミを見るようだった。僕は何も言えないまま、彼女の営む書店から出ていった。
日々家
7/30/2024, 11:16:53 AM
澄んだ瞳
「もういいよ」そう言って笑う君は、何もかも諦めて手放したのに、雲一つ無い空のように澄んだ瞳をしていた。
――この時僕は初めて、見放されるという意味を知った。
日々家
7/29/2024, 10:47:36 AM
嵐が来ようとも
心の中に嵐が来ようとも、それを共に怖がり寄り添い合えるような人などいないので、明るい話だけ流れる動画を眺めて眠気を待つ深夜二時。
日々家