4/2/2024, 11:43:48 AM
大切なもの
知らない内に俺の目は随分と悪くなったし、心も鈍くなっていたらしい。失ったものの大きさに、後になって気づくんだからさ。
――この感傷も、煙草の煙みたいに消えちまえばいいのにな。
その思いに応えるように強い風が一つ吹く。しかし、消えるのは煙だけだった。グシャグシャになった髪の毛を直しもせず、暮れていく空をベランダから眺め続ける。煙草は灰になっていく。でももう誰も、俺に声をかけてくれはしなかった。
どこからか夕飯の匂いが届く。いつかこの部屋に満ちていた匂いと似ていて、視界が歪んだ。
日々家
4/1/2024, 11:32:51 AM
エイプリルフール
可愛い嘘なら花束にして飾りましょう。きっと何回思い出しても笑みが溢れるから。
悲しい嘘なら風船にして私に渡さず、そのまま割ってくださいね。
日々家
3/31/2024, 11:11:53 AM
幸せに
焼きたてのトーストとコーヒーの香りと君の鼻歌。
幸せに何か例があるのならば教えてくれっと言われたら、僕の場合はこの香りと鼻歌だと答えるだろう。
日々家
3/30/2024, 11:48:07 AM
何気ないふり
“大丈夫”と笑い、気丈に振る舞う様は、どんな人よりも強く美しく脆い。
日々家
3/29/2024, 11:14:59 AM
ハッピーエンド
現実味が無くても、幸せに満ち足りた終わりが約束された物語も私は愛しく思う。
日々家