ノブメ

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4/10/2023, 9:22:08 AM

君は世界で一番美しい泥人形
見た目は普通の人形だから
誰もが君を持て囃す

アチラコチラを引っ張って
どうにかこうにか取り入って
君といる事がステイタス
君が心を売りに出す

私は君を知っている
君の中身を知っている

君の脆さを知っているから
私は君に触らない

君を知らない人の群れ
少しずつ君が崩れてく

色が剥げて醜くなって
君の形が変わっていく

君を知らない人の群れは
君に興味を失くした群れ

心の売れ残りを抱えた君が
崩れた笑顔で座ってる
私は君からこぼれ落ちた
欠片をありたけかき集める

私からこぼれ落ちた水滴が
ひび割れた君に吸い込まれ

どうしてもっと早く
どうしてもっと早く

「−誰よりも、ずっと−」

3/19/2023, 9:26:27 AM

テーブルの上、一つのグラス
注がれる苦い水
嫌がっても飲み干さないと
私は此処で生きられない

苦い水が喉を通る
水は私を構成する
私は汚れを知っていく

水は次々と注がれる
気づけばグラスが増えている

苦い水が脳を溶かす
気づけば毒を飲んでいる

吐き出したくても飲み込まないと
私は此処で生きられない

私は此処で生きられない

***

テーブルの上、一つのグラス
怯えた誰かが椅子に座る
私はグラスに水を注ぐ
怯えた誰かが私を見ている

私は彼女の手をとって
その手にグラスを握らせる

「−不条理−」

3/18/2023, 9:39:33 AM

星が空に溢れた日
君が世界に溶けた夜

幾千もの蠢く光
夜光虫が鳴いた夜
星が流れる川の中で
君が手から溢れ落ちた

君を失くしたあの夜に
ただひとつだけ掴めたもの
光の中から掬い出した
君の目だけを連れ出して

涙を流さぬ君の目が
思い出させたあの約束

守れるわけない約束に
私の涙を一滴捧ぐ

「−泣かないよ−」

3/16/2023, 2:44:43 AM

特にすることも無い夜に
丘の上で仰向けになり
満天の星空を眺める

こんなに深い夜だというのに
空に瞬く星が眩しく
私は目を閉じてしまう

一等星、二等星、三等星
紅色、橙色、白色

数えきれない
数えたくない

こんなに深い夜だというのに
目を閉じても
耳を塞いでも

星の声が聞こえてくる
私を笑っている声が聞こえる

数えきれない星の光に
私は希釈されていく

いつか散らばって消えてしまうから
誰か早くこの夜を終えて

目を閉じて
耳を塞いで

いつか私はこの夜を越えて

「−星が溢れる−」

3/12/2023, 10:42:51 PM

美しい立方体形の箱に籠もり
座して活字の列を追う

ページを捲って人知れず
私の世界で君を追う

君と付き合うアイツらは
多分、表紙で君を知る
私は君の足跡で
書かれた文字で君を知る

捲る捲る
巡る巡る

私の頭で文字が踊る
私が君を踊らせる

あれ、なんだか怪しい雲行き
此処から先は第二章
君だけが知る君の秘密
私だけが暴く君の秘密

BAD ENDはすぐそこに
私はそれでも君を知る

「−もっと知りたい−」

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