僕が一番欲しいものは
〝愛〟
薄っぺらい愛でも、表向きの愛でもなく
深くて重くて信頼性のある愛が欲しい。
【今一番欲しいもの】
#87
僕の名前、君の名前、みんなの名前。
名前はその人を表し、その人そのものだ。
とても大事。
だけど、僕は事故にあい、記憶喪失。
自分の性別、名前、誕生日何もかも忘れていた。
僕は何者だろうか。
これから僕を探す旅が始まる。
【私の名前】
#86
君と遊んだ帰り道、
横断歩道を渡りきって、後ろを振り返る瞬間、
ドンっ!と鈍い音がした。
僕の視線の先には血まみれになった君が倒れていた。
『え?なんで?起きてよ。いつもみたいに僕に笑いかけてよ』
君は倒れたまま返事もしないし、ピクリとも動かない。
信号無視の車に轢かれた君は即死だった。
僕は耐えきれなくて、君が死んだことを受け入れたくなくて、
お通夜にもお葬式にも行かず、
ずっと自分の部屋に引きこもった。
中学に上がっても僕は学校に行かず、
もちろん高校にも行ってない。
毎日毎日何年も〝早く君に会いたい〟
〝どうすれば君にまた会える?〟
そればっかりだった。
ある日ふと僕も死ねば会えるかな?って思った。
それからは〝どうすれば死ねる?〟ばっかになった。
とあるドラマで首の動脈を切られて死んでいくのを見た。
それを見た時僕は、『これだ!』と口に出すぼど、思った。
次の日、僕はホームセンターに行き、
1番斬れ味の良さそうな包丁を買って、家で首を切った。
だけど、目が覚めた時、僕がいたのは明るいところではなく、
とても暗くて焼けるような暑さの空間だった。
一瞬で理解した。
僕は地獄に落ちたのだと。
死んでも会えなかった、もう死んでるから死ぬ事も出来ない。
苦しい日々の始まりだった。
君に会えない絶望で僕はおかしくなり、何も感じなくなった。
【視線の先には】
#85
皆は普通に学校に行き、
卒業して普通に仕事に行き、
普通に生活している。
なんで、僕は学校にも行けなくて、
単位が足りず卒業出来ず中退、
仕事もできない。
なんで、なんで、僕だけこんな
辛い思いしないといけないんだろう。
こんな難病早く治したいのに、
そんな気持ちと体は反比例。
早く治したいと思えば思うほど、
体は言うことを聞かず、弱っていく。
【私だけ】
#84
僕の中には子供の頃の記憶がない。
中学生の頃に事故にあって、記憶喪失になってから
何も思い出せない。
親のこと、自分のこと、兄弟がいたのかすらも。
今の僕になってから好きになった子がいた。
その子と過ごすうちに、遠い日の記憶が蘇ってくる。
僕はどうも施設で育っていて、
本当の親はどこで何してるのか分からないらしい。
僕には楽しい思い出がない。
思い出しても思い出さなくても、
どっちでもいいよな記憶しか無かった。
こんなのなら別に思い出さなくてよかった。
むしろ思い出したくなかった。
自分がなんの取り柄もなくて、寂しい人間ってことを
思い出したくなかった。
思い出すうちに分かった。
僕が好きな子は施設に一緒にいれられた妹だってことが。
なにが正しいのか、どうすればいいのか僕には分からない。
誰か教えてくれよ…。
【遠い日の記憶】
#83