君と遊んだ帰り道、
横断歩道を渡りきって、後ろを振り返る瞬間、
ドンっ!と鈍い音がした。
僕の視線の先には血まみれになった君が倒れていた。
『え?なんで?起きてよ。いつもみたいに僕に笑いかけてよ』
君は倒れたまま返事もしないし、ピクリとも動かない。
信号無視の車に轢かれた君は即死だった。
僕は耐えきれなくて、君が死んだことを受け入れたくなくて、
お通夜にもお葬式にも行かず、
ずっと自分の部屋に引きこもった。
中学に上がっても僕は学校に行かず、
もちろん高校にも行ってない。
毎日毎日何年も〝早く君に会いたい〟
〝どうすれば君にまた会える?〟
そればっかりだった。
ある日ふと僕も死ねば会えるかな?って思った。
それからは〝どうすれば死ねる?〟ばっかになった。
とあるドラマで首の動脈を切られて死んでいくのを見た。
それを見た時僕は、『これだ!』と口に出すぼど、思った。
次の日、僕はホームセンターに行き、
1番斬れ味の良さそうな包丁を買って、家で首を切った。
だけど、目が覚めた時、僕がいたのは明るいところではなく、
とても暗くて焼けるような暑さの空間だった。
一瞬で理解した。
僕は地獄に落ちたのだと。
死んでも会えなかった、もう死んでるから死ぬ事も出来ない。
苦しい日々の始まりだった。
君に会えない絶望で僕はおかしくなり、何も感じなくなった。
【視線の先には】
#85
7/20/2023, 4:58:30 AM