名前の無い音

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7/18/2022, 9:29:23 AM

おじいちゃんの背中は
暖かくて
寝心地が良かったな……

ゴメンね

背中で ずっと アマガエル 握ってて……

ヒグラシの声を聞くと 思い出す
あの 夏の日の 夕暮れ

7/17/2022, 4:42:07 AM

ぼんやり

仕事帰りに 空を見上げる



あぁ……

途中まで書いたのになぁ……

あげそびれたなぁ……

あぁ……



最近は いつもこれだ
どうしたもんか

今日こそはっ!

気合いだけは入る!
そして
あげそびれた言葉たちが
溜まっていく

ちょっと待ってて

もう少し
もう少し

寝かせて 熟成中になる

7/13/2022, 4:22:08 PM

『帰り道』


泣きたい夜を いくつか越えた

大変な事って 不思議と重なる
仕事でもトラブルが発生して
なんとなく 心もざわつきっぱなし

落ち着く余裕が 全然無くて
なんとか 深呼吸を繰り返して
ようやく落ち着いた

友達の声や 同僚の声が
やっと聞こえるようになってきて
なんとなく 日常が戻ってきた

そんな毎日をやり過ごしながら
あえての残業
遅くなった 帰り道

家に帰るのが 苦しくて
少しだけ ゆっくり歩く

ぼんやりと 街灯をながめながら
好きだった人を 急に悪人にするのは
なかなか難しいな って考える

私は 何だったのかなぁ?とか
あなたは どう思ってたのかなぁ?とか
答えが出ない質問を
繰り返し 頭の中で再生させてしまう

思い出が 多すぎるんだよ

嫌な色の ため息が出る
誰にも知られたくないな

実は 知ってるよ
本当は わたし まだ 振りきれてない

あんなに 「最低な人間!」と思っても
あんなに 「最悪な人!」って思っても
どこかで どこかで
あなたを 庇ってしまうんだ

苦しくてね 苦しくてね

見上げた 街灯の灯りが 滲んで見える

深呼吸をしよう
明日も 深呼吸をしよう

深い 深い 深呼吸をしよう

あぁ あなたを忘れるまで
あなたの記憶を わたしの中から
追い出すように……

さようなら

7/7/2022, 2:53:04 PM

『願い事』


三日も既読スルーされると
流石に腹が立つのも通りすぎて
諦めに近い 不安な気持ちになる

今の時期 忙しいって
仕方ないのは わかってるけどさ

今日は 七夕なんだよ

世の中は 織姫と彦星で
短冊に願い事で お星さまキラキラで
ウハウハで 幸せで イチャイチャで……

ふんっ
ただの やっかみでしかないな

7月7日に 天の川をちゃんと見た記憶
ほとんど無いや
お天気が悪いイメージしかない

去年までなら 気にしてないけど
今年はちょっと違う

別に そんなに気にしてないけどさ
別に どうしてもってほどでもないけどさ



……ウソ
ウソ ウソ ウソ ウソッ!!!


七夕くらい 会いたかった
せっかくの日 会いたかったよ
会えないなら せめて
声だけでも聞きたかった

こんなに 人を想えるなんて
自分でも信じられない
毎日 こんなに
『好き』を更新していけるなんて
信じられないよ


七夕
一年に一度しか会えない
織姫と彦星 今日はどんな話をしてるの?

みんな 短冊に 願い事を書いてさ……

あれ?そうか……
七夕は お願い事 してもいいんだっけ?

時計を見ると 23時50分
あと10分で日付が変わる
七夕終わっちゃうよ

よし!星に願いを!
既読スルーでもいい
読んでもらえるだけでも……

私は スマホを手に取り
彼にメッセージを打った


* * * * * *

23時57分
聞き覚えのある着信音

「もしもし?」
『あ、まだ七夕だよね?』
「うん」

久しぶりに聞こえる
大好きな声

『間に合った!……ごめん。仕事が忙しすぎて、余裕がなかったよ』
「大丈夫 わかってるよ」
『ありがとう』
「そっちこそ 忙しいのに……ありがとう」

柔らかい空気
懐かしい感覚
固まった心を溶かしてくれる声

『また 戻らなきゃなんだ』
「うん」
『……いつも待たせてごめんな。待っててくれてありがとう』
「ふふっ お安いご用さ!」
『じゃあ また連絡する』
「うん」
『おやすみ』
「おやすみなさい」

通話が終わる
時刻はちょうど0時
七夕も終わった

あぁ ちょっとだけ満たされたな
って思って 天井を見上げていると
スマホがプルプルっと短く震えた

大事なこと言い忘れた!
愛してる!!

彼からのメッセージ
ちょっと笑う
私もすぐに返信する

ありがとう
大好き!!!


* * * * * *

七夕のお願い事

『大好きな人の声が
1秒でもいいから聞けますように』

離れていても 心だけは
ずっとずっと 寄り添っていたい

そうやって 沢山の時間を過ごしていこう

大丈夫
きっと 大丈夫

今年の七夕は
天の川がずいぶんキレイに見えたよ
ありがとう 天の神様

6/26/2022, 5:38:54 PM

『サヨナラの日』


あの日 東京駅の
新幹線の改札前で 別れた

彼女は 二年半分の荷物を
キャリーバッグに入れて
僕の部屋から出ていく事を決めた

「じゃあね」
「……じゃあね」

君は 改札を抜けて
ホームに向かって歩いていった

振り向くかなと
ずっと後ろ姿を目で追っていたけど
そのまま 人の波の中に
消えていった

あぁ
こんなもんかな
こんなもんだろうな

理由なんて ありすぎてさ
どれが原因かなんてわからないよ
でも 僕がバカだったって わかってる

いつも 夢物語ばかり言っててさ
叶わない夢ばかり 追いかけてさ
本当に申し訳ない
いつも 彼女には
辛くて さみしい思いばかりさせた

ずっと ずっと
そばにいるのが当たり前だと思ってて
居なくなるなんて
これっぽっちも疑わなかったよ

なにやってんだよ自分
ホントにさ

でも……
これで 良かったんだよ
これで……

僕は ようやく 新幹線の改札から離れた


* * * * * *


「じゃあね」
「……じゃあね」

彼に背を向けて歩き出す
私は 出来るだけ普通の顔を作っていた

改札に切符を通す
スーツケースを引っ張りながら
改札を抜けて 新幹線のホームを目指す

『……絶対に……振り向かない』

心に決めていた
一歩 一歩 歩く度に
鼻の奥が熱くなってくる


……あぁ 私はね
ずっと あなたが好きだったの

一緒に住んでた二年半
あなたの夢が叶うように
ずっとずっと 一番の理解者で
味方で居たいって思ってた

でも
私が居たら ダメなの
甘えちゃうのよ
そしてあなたは夢を諦めちゃうのよ……

エスカレーターに乗り
ホームに着くと
私の涙はもう 止められなかった

ごめんね
なにもしてあげられなくて
役立たずで ごめんね

だから……
これで良かったんだよ
これで……

* * ** **

これで 自由だよ
もう 自由だよ

あなたも頑張ってね
君も幸せになりなよ

さよなら
サヨナラ

ありがとう
アリガトウ

バイバイ

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