名前の無い音

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6/26/2022, 9:17:08 AM

『ニゲラ』


苦しい……

手を伸ばしても 伸ばしても
あなたに 届かない
触れられない

待って 待ってよ
行かないで


毎日 同じタイミングで
……… 目が覚める
時計を見ると まだ朝の5時

最近 いつもこんな調子だ


『忙しくて…… ごめん』
って メッセージが来てから
こっちから 連絡するのを控えてみた

本当は 頼りたいけど
本当は 甘えたいけど

ものわかりの良い女を
演じなきゃダメでしょ?

あなたに嫌われちゃう
あなたに捨てられちゃう

毎日 あなたからの
メッセージを待つけど
そんなの来やしない

そもそも 既読すらつかないし

でもね でもね
わたしは『信じていたい』のよ
あなたを 信じていたいの

だから 我慢するの
言いたいことも 泣きたいことも
必死で堪えてるの

今 何か起きたら
わたしは 一瞬で 心が折れてしまう
わかる ポキりと折れる

だから 必死で 見ないフリしてる
必死で 知らないフリしてる

でもさ
夢の中だと 無理なのよ
『出てこないで』とか言えないのよ

夢の中のあなたはさ
私を置いて いっちゃうのよ

さっさと ひとりで
先に行ってしまうのよ……

どうしていいか
いつも 困惑するのよ
彷徨って 泣いて 探して
目が覚めるの

あなたはどこにいるの?
わたしはどうしたらいいの?

鳴らない電話
送らないメッセージ

あなたを中心に
時間を回しちゃいけないって
わかってるのに



午前5時
もう一度 あなたに会いたくて
わたしは ゆっくりと目を閉じる

空想と現実 我慢の時間

どうしたらいいの?
ねぇ 教えてよ 教えてよ

あなたは どこにいるの?

6/25/2022, 3:46:14 AM

一年後も……
何か書いて居られるかなぁ

6/22/2022, 4:05:30 PM

『戯言』


結婚なんか しなきゃ良かったよ

旦那は いつからか 私に興味はないし
子どもたちも 手伝うわけでもない

仕事しながら ご飯を作って
掃除して 洗濯して
あれが欲しい これが欲しい
あれやって これやって
なんでもかんでも 私に頼むから

毎日 誰かの為に生きているのが
辛くなってきた
私は わたしでありたいの

わたしを 生きたい!
わたしに自由を!
わたしに自由を!




……って


お母さんも思っていたのかな

ごめんなさい

もっと 手伝っておけば良かったな
ちゃんと 勉強して
真面目に 生きていたら良かったな
困らせたり 悩ませたり
親不孝ばかりだな

あぁ ごめんなさい
ダメな娘でごめんなさい

最近 毎日
そんなことを考えながら
洗濯物を畳んでいます……

これが終わったら
お母さんに 電話してみようかな

6/21/2022, 9:45:03 PM

『無題』


「あれ?髪切った?」

久しぶりに会って 第一声がそれだった

「切ったよ どう?」
「お~ いいんじゃない? よく似合ってる」
「ホントに?ありがとう!」

褒められたら 悪い気はしない
うれしい!

「え~ いい色じゃん!」

彼の手が わたしの髪の毛に触れる

「へへっ オススメされたんだ」
「よく似合ってるよ」

そのまま 頭を撫でられた
なんとなく くすぐったいような気がして
肩をすくめる

「今日の服にもよく合ってるね」
「そんなに褒めても おごらないよ?」
「その髪色 俺 好きだわ 」

あなたの『好き』に反応してしまう
そっか こんな色が好きなんだな

あなたの好きな色がわたしの好きな色

わたしはいつも
あなた色に染まりたいのよ

大好きっ!

6/21/2022, 7:09:58 AM

『雨の日』


雨の日でした

あなたが電話をくれたのも
わたしが消えてしまいそうだったのも

こんな 雨の日でした

* * * * * *

あの時 付き合っていた彼が
大好きだった彼が

二度とこの世に帰ってこないとわかった時
わたしはどうやって家に帰ってきたか
何も覚えていません

その頃の記憶があやふやで
どうやって 呼吸をしていたのかも
覚えていません

何日も 泣いていたのは確かです
でもどうする事も出来なくて
誰かが 代わるがわる わたしの側に居てくれました

あの日
何日目だったか
何日たったかも わからなくて
夜か昼かも わからなくて
ただ 毛布にくるまって 時間が過ぎるのを
待っていた時でした

『元気か~?』

懐かしい
聞き覚えのある声
あなたからの電話でした

わたしは あなたの声を聞いた瞬間
何を言ったか どう話したか
覚えていません

ただ ただ 言葉にならずに
泣きつづけた事を覚えています

あなたは 驚いて

『今行くから ちょっと待っててな』

そう言って 電話をつないだまま
車で わたしの家まで来てくれました

泣きつづけるわたしを
あなたは自分の車の
後部座席に乗せました

雨の日
もう 外は真っ暗でした

ゆっくりと 車を走らせながら
車のステレオの
ボリュームを上げてくれました

「……泣いていいよ いっぱい
わめいても あばれてもいいから
外からは見えないし 聞こえないから」

わたしは ただただ 揺られながら
泣きながら ぼんやりと
外を眺めていました

あなたは いつもそうだったように
回りの景色を 口に出して
教えてくれました

「さぁて 次の信号はどっちに向かうかな」
「海に向かうか 山に向かうか悩むね」
「雨の夜も たまには良いね」

泣きわめき過ぎて 喉がおかしくなりました
がらがら声で わたしは聞きました

「……なんで 電話したんですか?」

「なんでかなぁ わかんないけど……
なにしてるかなぁって 思ったんよ」

あなたは 昔から
いつも 不思議なタイミングで
連絡をくれました

「本当にさ なんか パッと顔が浮かんで
あ なにしてるかなぁ?
電話してみようって……

ごめんな 何にも知らなくて……」

7つ歳上のあなたとは
不思議な縁で繋がりました

わたしの好きなバンド繋がりで
家族ぐるみで
仲良くしてもらっていました

「今度のライブ行くのかなって思ってさ」

あぁ ライブ
そういえば あるって言ってたな
一緒に……一緒に……

もう 枯れたはずと思っていた涙が
また じわりじわりと溢れてきます
どうしたらいいのか わからないのです
どうしたらいいのか

「……消えたいです……」

わたしは 絞り出した声で
つぶやきました

「……つらいよな……ごめんな なにもしてやれないけどさ……
落ち着くまでは 一緒にいるから」
「……ダメで……よ そ……なの……迷惑かけ……」

言葉にならない言葉に
あなたは 静かに繋げました

「……いいんだよ 甘えられる人には甘えて
辛かったら 泣いて いいんだよ
頼って いいんだよ……たのむよ 頼ってくれ」

もう 何も言えませんでした

「泣きたいだけ 泣いたらいいよ 今日は落ち着くまで 一緒にいる
そして泣きたくなったら また いつでも呼んで
俺 来るから」

わたしは 泣きました
運転席の後ろで
大きな声で泣きました

あなたはそっと ジャスミンティーの
ペットボトルを渡してきました

「それだけ泣いたら 水分補給しなきゃ」

あぁ あなたも あなたの奥さんも
ジャスミンティーが好きでしたよね
今でもそれは 変わらないんですね

キャップを開けて 1口飲むと
ふわっとジャスミンの香りがしました
しわしわになった 体に 心に
染み込んでいきました

走ったり たまに休んだりしながら
あなたは 夜のドライブをしてくれました
わたしは 持ってきた毛布にくるまりながら
ずっと 窓の外を眺めていました

「……あの そろそろ もう……朝」

わたしはあなたの運転する姿を見ながら
心配になってきました

「うん……朝だね いい天気になりそうだよ」

昨日の雨がやみ 街はまだ雫で
キラキラしていました

「……帰ります」
「……まだ 平気だよ?」
「大丈夫です もし また 必要になったら 呼びます」
「了解」

あなたは わたしの住んでいた
アパート近くまで戻ると
路肩に車を寄せました

「……時間がな 欲しいよな」
「……わかりません」
「家まで送るよ」

あなたは運転席から降りて
後部座席のドアを開けました

「ありがとうございました」

毛布と涙で濡れたタオルを持って
車から降りようとしたとき
あなたは 毛布ごと わたしを強く抱きしめました

「……絶対 消えたら ダメだ 絶対 頼むから……」

あなたが
静かに泣いているのがわかりました

「……はい……」

わたしのどこかから 返事をする声が
聞こえました


* * * * * *

自分が ダメになる日が 今でもあります
どうしようもなくなる日が
今でもあります

でも わたしは私を なんとか頑張って生きています

それはあなたに助けてもらったから

あなたの腕の強さと あの涙を
たぶんわたしは一生わすれないでしょう

これが 雨の日の
わたしの『思い出』なのです

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