『開けないLINE』
ひらけない/あけない
小さなすれ違いの積み重ねから
縁が切れてしまった友だちがいた
思い切ってLINEを送ったけれど
既読がつかないのを見るのが怖くて
あるいは、付いていてもリアクションがないとしたら
…と怖くて
そのままにしていた
けれどずっと心の底に残る塊が気持ち悪くて
年賀状を出してみた
数ヶ月後届いた返事には
倒れて入院していたこと
倒れたはずみで携帯が壊れ
連絡が取れなかったと
手紙の最後にLINEのIDが書かれていたことに
ここ数年の塊が消えていくようで
けれど、検索しても出てこない
今度はわたしのIDを添えた手紙を書いてみよう
『不完全な僕』
わたしの好きな舞台作品のなかに
「Nobody is perfect」という歌がある
その舞台の登場人物たちは
自分の“足りないところ”を自覚していて
抱えているのだけれど
でも完璧な人なんていないことが分かれば
その中でベストを尽くせばいい、こともわかる
というテーマがあって
たまに、実生活でもその歌詞を思い出す
そしてそれを歌っていた役がしていた
「深呼吸して手を2回叩く」
は、
自分の出来なさと
できることに最善を尽くすことを
思い出させてくれる
『香水』
観劇はどうしても譲れない趣味
未知の感染症により目の前で幾つも上演が消え、
それでも手探りで再開したときに
前から2列めの席が振り当てられた
久しぶりに観られた『生の舞台』と
好きな役者さんからふわりと香った匂いの
懐かしさに涙が出た
『突然の君の訪問。』
ずっと前
好意を寄せてくれた年下の大学生
わたしの誕生日、
仕事中「下に来て」と連絡してきて
ビルのロビーに行ったら花束とお菓子
勤務中に抜けてるし
花束持って席に戻るわけにもいかず
こそこそロッカーに戻り
花束を隠し
頂いたお菓子は
後日適当な言い訳をして
職場のみんなで分けました
その後すぐ
ほかの女の子とトラブルを起こして
消息不明に
このお題で思い出したくらい
懐かしいとは言えないけれど
もう時効
『私の日記帳』
小さい頃は、鍵付きの日記帳に憧れて
買ってはみたけど数ページしか続かなかった
今はA5サイズのノートに書いている
出来事の記録だけではなく
思考が止まらないとき
考えがまとまらないとき
ネガティブに押しつぶされそうなとき
とにかく書いて書いて書いて、
書くことで
「これがいけなかったのかも」
「あぁ、そうすればよかったんだ」
「大したことなかったな」
「でもまあ、頑張ったよ」
と、気持ちや思考の整理ができる
なにより
書くことで、気持ちが落ち着く。
ノートに写したのでこの話はもうおしまい、と
無意識のうちに線引きをしている