RaTe

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12/25/2021, 5:17:52 AM

─イブの夜─

片想いだと思っていたあなたから

「大好き」

の言葉を貰った

嬉しかったんだ

ありがとう

私も大好きだよ

12/11/2021, 10:14:09 AM

─何でもないフリ─

友達と笑い合う

「好きな人いるのー?」

私に問う

「えーいるよー」

「私もいるんだ。
〇組の〇〇くんなんだけどさ…」

声が遠くなる

視界が真っ白になる

私は笑顔を一生懸命保った

私はあなたが好きなんだ

でも君の幸せを応援したいんだ

だから笑顔を崩さない

いつもどうりに振舞った

12/2/2021, 10:05:52 AM

─光と闇の狭間で─

叫ぶ

叫ぶが届かない

手を伸ばす

伸ばすが空を切った

何者にもなれなかった

私は人を傷つけてばかりで

偽善を装って笑っていた

そのうち顔が溶けだした

真っ黒に溶けだした

真っ黒の空洞になった

自分を殺して人を救っていたことに

やっと気付いたのだ

11/30/2021, 11:10:55 AM

─泣かないで─

大きな檻の中には

簡易ベッドと
仕切られたトイレと
動く度に舞う鳥の羽
床には銀食器と食べ物が散らかっていた

真ん中に一人

ボサボサのトリの巣みたいな頭
紅く滲んだ目は濁っている

幽霊鳥だ

そう思った

彼は泣いていた

僕は怖気付いていた

なぜなら
先生の言っていた”病気”
手紙に書いてあった”穢れた鳥”
それらはきっと

先祖返り というものだろうから

少し前に本で読んだことがある

先祖返り…ヒトによって症状は様々。血に飢えて襲う者もいれば身体の一部が変化する者もいる。
共通することはひとつ、自我を保ちながらも身体を制御できなくなってしまうこと。
先祖返りは鉱物精霊の涙石で沈めることができる。
涙石は希少な為、明確な治療法は未だ判明していない。

「あの子たぶん先祖返りだよ」

「ふーん。ねぇ、お前がこの手紙書いたの?」

普通、先祖返りは忌み嫌われるのに

犬はお構い無しに話しかけた

鳥は怯えながらもコクコクと頷いた

「ぼく、の、こと、こわ、くない、の?」

あまり喋ったことがないらしい
途切れ途切れに言葉を紡いでいた

「怖くないよ。だって伝染るわけじゃないし」

はっと気がついた

そうだ治療法がほとんどないだけで

この子は何も悪くない

なのに僕は鳥を怖がっていた

なんて愚かなんだろうか

「ごめんなさい。初めて見た時、僕は君のことが怖かった。
でも、今は怖くない」

鳥は微笑んだ

優しくて綺麗な顔だった

「きて、くれて、あり、がとう」

「外に出られないのは先祖返りだからか。
なぁ猫、治す方法ないかな」

「ひとつだけあるよ」

「ほ、ほん、と?」

「鉱物精霊の涙石だよ」

「じゃあそれを取ってくれば鳥は外に出られる!
探そうよおれたちで!」

「とても希少だから、今度石を売りに来るノッカー達に聞いてみよう」

「ノッカー、の、涙、は石、に、なる」

「そうなのか?」

「うん、いつも来てくれるノッカーなら涙石を分けてくれるかもしれない」


「で、も、涙石、は…」

僕らは
鳥を外に出す相談に夢中になり過ぎた


地下階段を降りてくる足音に気づかなかった


カツン…

先生だった

「あらあら、あなた達…」

その瞬間
鳥が泣き出した

「うぇぇん…ヒック…ふた、り、わる、くない…ヒック」

泣き声と共に部屋中に黒い鳥の羽が散った

鳥が大きくなっていた

(に、げ、て、いい、よ)

僕らが怒られないようにしてくれてる

「うわっ猫っ!こっちだ!」

「でも…」

犬に腕をすごい力で引っ張られて

僕らは図書館を出た

扉は先生が来たから開いていた

部屋に戻って

どっと疲れが来たので僕らはそのまま眠った

後日、夜中に部屋を抜け出したことを先生が叱った

でも、

「ずっと地下に閉じ込めるなんて私が悪かったわ。
パイプ越しじゃなくまた、会いに行ってあげて」

鳥に会いに行けるのだ

嬉しかった

あとはノッカーに話を聞いて

僕らは鳥を檻から解放する


鳥はもう泣かなくていいんだ


泣かないで


笑って生きるんだ

11/28/2021, 10:51:27 AM

─終わらせないで─

起きて
パンにバターを塗って
コケモモを採りにいく

井戸の水を汲んで
洗濯物を干して
日が暮れるまで庭で遊ぶ

料理当番の日は料理を作る


カラスが鳴いた


曇った空を生暖かい風が撫でていく

玄関からノックの音がする

先生が出る

僕らは玄関の古時計の陰に隠れて
その様子を覗き見た

兵隊さんがいた

何か話してる

「…だれだろ…」
兎がつぶやく
「しぃー!」
犬が言う
はっと口を手でふさぐ

僕は不安でいっぱいだった

何故かわからない

兵隊さんの銃か
先生の手が強ばっているからか
不穏な空気か

兵隊さんの顔が真っ黒の空洞だからか

僕にはわからない


しばらくして兵隊さんは銃を先生に向けた

そして、




撃った




のしりと兵隊さんが入ってくる

僕らは震えた
古時計の陰で身を潜める

兎は僕の腕を手が白くなるほど掴む
鳥は自分の髪を強く掴んで
犬は僕らを庇うように腕を広げている

…カツン

ああなんで
(兵隊さんが前に立つ)
僕らの日常がガラガラと崩れていく
(空洞の顔が見つめる)
なんで
(銃が向けられる)
お願い
僕らの幸せだった日常を、終わら

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