RaTe

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─終わらせないで─

起きて
パンにバターを塗って
コケモモを採りにいく

井戸の水を汲んで
洗濯物を干して
日が暮れるまで庭で遊ぶ

料理当番の日は料理を作る


カラスが鳴いた


曇った空を生暖かい風が撫でていく

玄関からノックの音がする

先生が出る

僕らは玄関の古時計の陰に隠れて
その様子を覗き見た

兵隊さんがいた

何か話してる

「…だれだろ…」
兎がつぶやく
「しぃー!」
犬が言う
はっと口を手でふさぐ

僕は不安でいっぱいだった

何故かわからない

兵隊さんの銃か
先生の手が強ばっているからか
不穏な空気か

兵隊さんの顔が真っ黒の空洞だからか

僕にはわからない


しばらくして兵隊さんは銃を先生に向けた

そして、




撃った




のしりと兵隊さんが入ってくる

僕らは震えた
古時計の陰で身を潜める

兎は僕の腕を手が白くなるほど掴む
鳥は自分の髪を強く掴んで
犬は僕らを庇うように腕を広げている

…カツン

ああなんで
(兵隊さんが前に立つ)
僕らの日常がガラガラと崩れていく
(空洞の顔が見つめる)
なんで
(銃が向けられる)
お願い
僕らの幸せだった日常を、終わら

11/28/2021, 10:51:27 AM