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9/23/2025, 1:33:55 PM

「僕と一緒に」




「約束だよ、ずっと一緒だって」


いつも見る夢。
誰かわからない人と、大切な約束を交わす。
真っ赤なマルベリーの花が咲いた場所で、二人だけで笑い合っている。

「いったい誰なんだろう........」

不思議と怖さはなく、その人の声は僕を安心させてくれる。

「一緒、か........ほんとならいいのにな」

きっと、夢なんだから叶わないだろう。
僕は死ぬまで一人なんだ。誰にも知られないまま、誰にも悲しまれずにこの世界から消えていくんだろう。

それならいっそ、夢を見たまま死にたいな。

「ねぇ、僕と一緒に」

9/23/2025, 5:45:48 AM

「悲しくなんかないから」

そう言っても君は泣いてるじゃないか。

「怒ってなんかないから」

そう言っても君は僕を睨むじゃないか。

理解ができない。君はなんでそんな嘘をつくの?
べつに君が悲しくっても、怒っていたとしても、僕は笑ったりしないのに。

自分の気持ちに嘘をつく方が、僕はおかしく思うよ。

9/21/2025, 11:06:30 AM

「虹の架け橋」



ふわ、ふわ、
真っ白に輝く空で、僕は白い羽を動かし飛んでいる。
輝く空は、光は、僕には眩しすぎるんだ。

「天使ってやだなぁ........」

ぽつりと呟いた言葉が心にずっしりと乗っかる。
いつからだろう、この白い羽が嫌になったのは。

仲間たちは自分が清いことを誇りに思っている。
いや、思い過ぎているんだ。だから心の醜さに気づけずに堕ちてしまう。

「......僕は気づいているけどなんで堕ちれないんだろう」

天使から堕ちることを望んでいる、と他の仲間が知ったら失望されるだろう。だからこれは、僕だけの秘密だ。

一度だけ、堕ちた天使を見たことがある。

空の下で羽ばたいていたそれは、羽が真っ黒に染まり目が真紅に光っていた。

「........きれい、」

思わずそう口に出していた。
それに気づいたのか、その堕天使は僕の所に飛んできた。驚いたがその目に捉えられた瞬間、体がなにかに縛られたかのように動かなくなってしまった。

「天使か…お前は堕天使を綺麗だと思うのか?」
「......うん」
「ふっ......変なやつ」

そうやって堕天使は目を細めて笑った。

9/19/2025, 1:40:22 PM

「秋色」



「あー、おー.......ぃだっ」

叫んでいたら隣に居た友人に叩かれた。解せぬ。
仕返しに足を蹴ってやったらまた叩かれた。ふん、

騒がしい講堂では学生たちが楽しそうに騒いでいる。

「なんであんなに人生楽しそうなんだろ」
「どうせ恋人とかの話だろ」

友人が鼻で息をした。なんだ、こいつもリア充が滅ぶのを望んでいるのか。
それにしても、恋とか愛とかそんなよく分からないものに、なぜそんなに必死になれるのかな。

自分には一生分からないだろう。

「お前には分からないよ」
「.....嘘、声にでてたか」

もうどうでも良くなったので、友人を抱きしめると珍しく頭を撫でてくれた。

「ふっ、恋人なんか作んなよ」
「なんで?」
「お前といる時間減るじゃん、親友はお前しかいないんだから」

「ーーーっ!!!!友よ!!!!!」
「うわっうるさっ」

何か言っていたが聞かなかったことにしてやろう。
今年の秋は、少し楽しめるかもしれない。

9/19/2025, 5:15:03 AM

「空っぽ」

誰か僕を満たしてよ。

心が乾いて何も感じなくなってしまったんだ。
何かしようとする度に、僕の箱はひび割れていく。
ぴき、ぴき、

ほら、もうこんなに壊れちゃったよ。

誰かに抱きしめられた時。
ひびが塞がっていったんだ。隙間が無くなって、もう寒くないって思えた。

だけど僕は、僕の箱は一度壊れてしまったから。
もう誰も抱きしめてくれなかった。
ぴき、ぴき、

もう、普通の人間には戻れないのかな。

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