ここに箱があります。
箱の中に、何が入っているか
手を入れて当ててみてください。
怖いですか?
大丈夫、危険なものではありませんから。
ほら、そっと手を入れて、そうそう。
意外と触れるでしょう。
たしかに、場所によって質感が違うかもしれません。
チクチクしたり、ふわふわしたり
ザラザラしている部分もありますね。
体温のように温かいところ、
ひんやりところもありますね。
なんだか検討もつかない?
今まで触った覚えがないですか
なるほど、そうですか。
もうすぐ夜が明けるでしょう、
そしたら箱からそれを取り出してください。
そして土の中に植えて、水をあげてください。
毎日欠かさず、話しかけてください。
内容なんてなんでもいいです、どんな些細なことでも。
何か分からなくても、
長い人生のなかできっと希望になるはずですから。
もうすぐ雨が降り出しそうです。
空がどんよりしています。
人びとが傘を持ち、
あちらこちらへ歩いていきます。
子どもの頃、知らない街にいる夢をよく見た。
人が誰もいない教会や
狭い階段のあるお店、
顔なじみのパン屋さん、
そこでは自分が子どもではなく、
自立した大人として生活していて
世界として成立していた。
今でも現実世界で道に迷うとき、
ふと、あの世界の道に似ている通りに出ることがある。
どこにも行かないで、
私もいないから2人でこの洞窟にいよう、
っていう感じの恋愛はもう無理。
それよりも、
ブラジルでもどこでも行っておいで〜って
送り出してくれるような人がいい。
世界は広い。
空も海も広くて深いので、
ずんずん進んでいこう!
いまどの選択肢を選んだとしても、
悲しいことが起こることに違いはないので
少しでも今を楽しんだほうがいい。
いつか起こる、辛さの重みに耐えられるように
少しずつ心の筋力をつけなきゃ⋯
誰かの姿を真似してみても、
なんだかちょっと思ってるものと違くて
思いっきり自分のときめきに振り切ると
自分のウキウキで視界が明るくなるかも!