めろんぱん

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4/21/2025, 11:33:51 AM

終わりのささやきが、
どこからか聞こえてくる

もう終わりなんだよ…
もう取り返しがつかないんだよ…
もうあの頃には戻れないんだよ…

木の陰からそっと、紙の折り目からそっと
たしかに聞こえる。

それでもやっぱり、
終わらせるのは自分だから。
まだ簡単に終わらせることに納得していない。

私の心がそう動くから。
心がへこたれない限り、しぶとく続けたいんだ。

来世ではよろしく!
そっちではその選択肢をとるかもね
でも、今は最大限自分を納得させるために
生きてるから、まだまだ、終わらせたくないんだ

4/20/2025, 12:14:27 PM

星の明かりに照らされて、
1台の自動販売機が駐車場の脇にたたずんでいる。

今日は風が強い夜なので
近くの公園の木が音を立てて揺れていた。

そのとき、一人の女の人がベンチに座り
ハンカチを片手に泣いているのが見えた。
最初はシクシク泣いていたが、
次第にわんわんと大泣きしているようだった。

女の人の泣いている音をかき消すように
風がゴーゴーわめいている。

自動販売機は
女の人がちゃんと帰れますように、と
その人の背中をじっと見つめていた。

4/19/2025, 11:49:01 PM

カフェで向かい合って話すより
隣に座ってベンチで話したほうが
本音で話ができるとおもう

私たちは目と目でテレパシーできないから
価値観が合おうが、合わなかろうが
話し合うべきとおもう

ふたりの将来がどうなろうが
もっと泥臭くコミュニケーションしたいんだよ

何を話そうか迷っていたあのときは
ベンチに座った2人の影も
ゆらゆらしていて愛おしかったね

今はもうお互い嫌いになってもいいから
話そう、とにかく。

終わりに近くことを恐れないことが
希望にいちばん近づく手立てだよ

4/18/2025, 10:28:31 AM

学生時代に、有名な小説を読んだことがある。
生涯で一度は必ず読むべきだと聞いたから
この機会に読んでおこうと思った。

長く静かな小説で、何か激しい展開はなく
穏やかな海に浮かぶ浮き輪のように
少しだけぷかぷか感情が浮き沈みする話が長く続いた。

おそらく、学生だった私のほうが
その小説よりも
喜怒哀楽の豊かな毎日を送っていたと思う。

私はときどき思い出しては、続きを読んだり
読まなかったりして物語を紡いだ。

そして、小説の最後のページが訪れた。

その小説の最後には、
落胆と喜びが同時に押し寄せるような
バッドエンドでもハッピーエンドでもあるような
死と生とが訪れたような文章が締めくくられていた。

私はしばらく呆然として、本を閉じた。
小説が終わったことで、
はじめて何かが始まった気がして、思わず目を閉じた。

4/17/2025, 1:09:19 PM

お気に入りのティーセットを取り出し、
真夜中ひそやかにお湯を沸かす。
ぐつぐつとだんだん大きくなっていく音に
ぼんやり耳を傾けて、
夜の訪れとあたたかな孤独に身を委ねる。

冷蔵庫からミントの葉を取り出し、
お湯を注ぐとふわりふわりと葉が舞い上がった

真っ白なカップに注ぎ入れ、
静かな夜のぬくもりに浸るのだった

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