「ねぇ、うちらいつまで一緒にいられるかな?」
突然口を開いた彼女の言葉に呆然とした。
「……ずっと俺は君と一緒にいると思ってるけど」
なんとか頭を回転させて答えた言葉に彼女は苦笑する。
なにかしてしまっただろうか?
彼女がこれから口を開く言葉に恐怖を抱いた。
「俺と分かれたいって遠回しに言ってる…?」
おそるおそる聞くと彼女は猫のような目を大きく見開いた。
「そんなわけなくない?うちらめっちゃラブラブだし」
出てきた言葉に首をひねる。
「その自覚があるのになんで、いつまで一緒にいれる…なんて言うの?」
「だって……不安になっちゃったんだもん」
少しすねたように目線を外す彼女に驚く。可愛いという感情を隠しながら口を開く。
「俺は君しか見てないのに?何を不安に思うの?」
彼女は目を丸くさせ頬を緩めた。
「心底不思議そうに聞かないでよ。君はかっこいいからいつもうちは可愛い子に目を光らせてるんだよ?」
初めて知る事実に驚きながらもヤキモチを焼いてる彼女の愛らしさに口が緩んでしまう。
「どんなに可愛いと言われる人がいてもきっと俺は1年後も10年後も君が1番だと思うけど」
彼女が頬を赤く染めた。
「じゃあ君はうちとずっと一緒にいてくれるってことだよね?」
「うん。まだ学生だから確実に予約はできないけど、君以外といる未来が想像できない」
そんな会話を教室でしていた彼らは知らない。
これがクラスメイトにより撮影されており、10年後と結婚式で流されることを。
後に彼らのクラスメイトはこう語った。
「あの二人は学生のくせに熟年夫婦のようなカップルだった」
「なぜ結婚していないのかと不思議に思っていた。」
#これからも ずっと
今日も1日が終わる。日が眠る準備をし始め月が起き上がる時、彼が言った。
「夕日が……夕日が綺麗ですね」
思わず顔を見ればその頬は夕日のせいか、赤く染まっていた。
「そうですね。1日が終わってしまいそうでさみしいです」
そう返すと彼は悲しそうに眉を下げた。
「でも、月も一緒に見るのですよね?」
そう続けると口角を上げ目を輝かせた彼がいた。可愛いという感情が胸に湧き上がる。
わかりずらい人だと、周りくどい、めんどくさい男だと言われることが多い彼だけれど、そんな彼のことを愛している私がいる。
「夕日が沈んでも、今日が終わっても、明日も明後日も一ヶ月後も一年後も僕のそばにいてくれますか!?」
プロポーズまがいなことを言う彼に今日も振り回されてばかりだけれど、平静を保って返す。
「当たり前でしょう?私は貴方が思うよりずっと貴方と一緒にいたいのよ。」
私の言葉に一喜一憂する彼に今日も私は愛の言葉を紡ぐ。
#沈む夕日