伝染病
あいつの気持ちが伝わってどうしようもなくいたたまれなくなった
きっとあたしが目をそらさなかったのは
それが非日常的なことで、現実味が無さすぎたから
現実味のないそれが嫌に綺麗に見えて
嗚呼、これはきっと思っちゃいけないことなんだって
猫が宙を舞うみたいな
そんな、
心臓の音が嫌に大きく聞こえて仕方ない
喉が無性に乾くようなそんな
焦燥感に駆られている
自分の体を殴っては
ただ悶える
泣きもできない、この感情を
なんといおうか
自分の欠点を見つけては
それをどうともできない苦しさを知り
成長も退化もしていないという事実にただ
苦しむのである
このまま自分が溶けてしまえばいいと
何度思っただろうか
このまま液体になり
太陽の光で蒸発してしまいたい
自分という体を持たず
自然と同化しごちゃ混ぜにしてしまいたい
もう消えてしまいたい
死にたいが痛いのは嫌だと言うのは我儘だろうか
自殺するくらいなら
他人に殺されたいなんて傲慢だろうか
いったいどうすればこの全ての感情が救われてくれるのだろうか
死にたいですか?
どう死ぬんですか?
なんで死ぬんですか?
辛いことがあったんですか?
なんでなんですか?
分からないんですか?
分からないんですね。
夏
金魚が水槽の外に放り出されて
猫がないて
蝉がうるさくて
ジリジリ僕の身体を太陽が焼いて
汗がつたった。
僕の下には蟻の行列があって
僕がこの真下に汗をたらせばこいつらは僕の汗に殺されるんだろうな
なんて可哀想な死に方なんだって
そんなこと考えた。
陽炎が燃えて
僕もそのまま白いもやもやになれたらいい。
なんで、
なんで僕は死にたいんだろう。
あまりに頭を使いすぎたせいで
脳みそが溶けきってしまったように感じる
自分はどうも友人と「遊ぶ」という行為が苦手らしい
突発的に誘われるならまだしも
約束事なんてもってのほかだ
いや違う
友人のことは大好きだし、それなりに信頼している
でも違うのだ
ある区域を超えた時点で
その外の区域での関わりが偉く億劫に感じてしまう
まあおかげで、ドタキャン野郎の称号がついてしまった訳だが
というかそんなことはどうでもいいのだ
先程溶けきった脳みそが頭の中をグラグラと波立たせる
ちゃぷんちゃぷんと音を立て
心なしか耳も湿ってきているように感じる
吐き気を感じ吐き出したそれは
人とはいえぬが人になろうとしているのだろうと
そんな予想をさせる
それと友人ならばどんなに楽だろうか?
元は自分の一部なのだし楽なのではないか
だがしかし、それは自分にとって生命を維持する上で必要なものである
ではなぜ自分は思考を混ぜられる?
脳みそでなく心とでも言うのだろうか。
やがて自分の心臓は動きを止め体が傾く、感じがするような気がする
何も見えていないし何も聞こえない、
吐き気出したそれが脳みそという原型をとどめた時、
それは何を考えるのだろうか。