今年は、早いようで、遅かった1年だった気がする。
環境が変わって、忙しい日々を送ってたら、いつの間にか体が追いつかなくなってた1年だったな。
「正直、今でも体調悪いんでしょ?」
「そうだね。例年と比べると体の調子が悪すぎてさ……」
「ま、もともと体強いんだし、来年は大丈夫じゃない?」
「そうかなぁ」
行きつけのあまり人気のない居酒屋で、お酒を飲みながら友達と1年をふりかえっていた。今年は色々ありすぎて、話し足りないのにもう時間が来てしまった。
「じゃ、私もう行くわ」
「あ、もうそんな時間?」
「うん。来年もよろしく」
「来年か。次はいつ頃会えるのかな」
「またすぐ会えるよ」
どこか適当そうで、でも確信しているかのようにそう言った。
友達が帰っても、私は1人で1年をふりかえっていた。
せっかくのクリスマスと言うのに、予定があるという始末。
だから、イブである今日、友達とクリスマスの曲を歌いながら家で遊んだりゲームをしたりした。
高校生になってから、忙しすぎて友達と遊べなかったから、とても楽しかった。
今年も最後だし、頑張ろう。
「雪、今日はクリスマスだな」
「あぁ……そうだっけ」
寝る前、何気なく交わす言葉。布団の上で、頭をぼーっとさせながら最近のことを思い出した。
朝起きて、仕事に行って、家に帰って、寝る。毎日がなんだか作業のようで、日の流れを感じ無くなっていた。
お兄ちゃんが教えてくれなかったら、今日はクリスマスということを忘れてそのまま眠ってたかもしれない。
「プレゼント、俺も欲しいなぁ」
「何か、欲しいものがあるの?」
「あぁ」
お兄ちゃんは豆電球を消して、私の隣で横になる。私も一緒に、横になった。お兄ちゃんの布団と、私の布団を比べると、お兄ちゃんの方が大きいけど、私の方がもふもふ。お兄ちゃんは、お金が無くて夏用の布団にくるまって寝てる。
「何が欲しいの?」
やっぱり、ふかふかの布団?
「うーん……内緒」
「なにそれ」
お兄ちゃんは、そういう所がめんどくさい。
ボソッとなにか聞こえたのは、きっと、気の所為だけど。
貴方は、覚えていてくれたよね。
私がゆずを好きだってこと。
私の誕生日の日、沢山のゆずを送ってきてくれて、その日ゆず風呂を堪能したのを覚えてるよ。
ゆずの香りが、貴方のことを思い出させてくれる。
貴方が、私のことを覚えていてくれたように、私はあなたのことを思ってる。
吹奏楽部で、クリスマス会というものをやった時、数人でハンドベルを使ってひとつの曲を奏でるという出し物をやった。
大っ嫌いな部活だったけど、クリスマスは好きだったから、頑張ってなんとか曲を形にした。
全然担当楽器は上達しなかったけど、改めて音楽を楽しむ気持ちに帰れたのはとても嬉しかった。
やっぱり、私は音楽とクリスマスが好き。