美味しいご飯、柔らかいクッション、そして鳥かご
あの子を迎え入れるために用意した
美味しいご飯は、毎日幸せを感じれるように
柔らかいクッションは、ゆっくり休めるように
鳥かごは、可愛いあの子が逃げないように
あの子は今日も歌っている
鳥かごの中で、今までも これからも
【鳥かご】
もしもタイムマシンがあったなら
未来に行きたい
そして未来のスイーツを食べてみたい
【もしもタイムマシンがあったなら】
空を見上げて心に浮かんだこと
ようやく雨が上がった
よく雨宿りしてる公園のベンチから立ち上がる
空を見上げた時に「虹だ」と言葉がこぼれた
「前にも似たことがあったなぁ」
ふと昔の記憶が浮かんだ
あの時はあの子が最初に虹を見つけたんだ
急に家まで来たかと思えば、空を見て と言ってきた
そこには鮮やかな虹があったけれど
ドヤ顔で自慢してくるあの子の顔は今でも鮮明だ
今も大切なあの子も空を見上げてるだろうかと思い
胸の辺りがほのかに暖かくなった
未だ湿気の残った空気を思い切り吸い込んだ
【空を見上げて心に浮かんだもの】
君がいるのが当たり前だった
なにを言っても聞いてくれるのが当たり前だった
君はいつもニコニコと笑ってるのが当たり前だった
多分心のどこかでダメだと分かっていた
でも全て許してくれて、それが当たり前になった
わがままを言っても
大きい声を出しても
暴言を吐いても
手をあげるようになっても
君は困ったように笑いながら許してくれた
でも私が今は亡き義母さんの指輪を無くしたのが
どうしても許せなかったんだよね
本当にごめんなさい
こんなこと言える立場じゃないのは分かってるけど
許されたいと思うことすらおこがましいけど
君がいないのが
君に声が届かないのが
君の笑顔が見れないのが
辛くて辛くて仕方ない
でもこれからは私だけで生きなきゃいけない
再婚なんて考えず 君にしたことを悔み続けるよ
それがいつか 私の当たり前 になるから
【私の当たり前】
僕の家は金持ちだ
母はとある病院の院長の一人娘 父は腕が立つ外科医
両親は政略結婚だった、らしい
僕も医者になるため昔から勉強漬けの日々だった
学校 課題 テスト 家庭教師 毎日勉強に明け暮れた
それが当たり前だった 他の道なんか知らなかった
その日は早く目が覚めて、どうしても眠れなかった
気分転換に近くの公園まで散歩することにした
近くまで行くと公園の方からなにか聞こえた
気になって少し早歩きで公園まで進んだ
そこに居たのは僕と同じぐらいの年の少女だった
ベンチに腰掛けて、心底 楽しそうに歌っていた
僕は音楽に詳しくなかったけど 聞き入ってしまった
歌い終わった彼女に声をかけた
「その歌 素敵だね、なんて曲なの?」
僕に気づいておらずびっくりしつつも答えてくれた
『え この曲?名前 まだつけてないんだ〜』
「もしかして、自分で作った歌なの?」
彼女はちょっと照れたようにこくりと頷いた
『歌が好きなんだ 歌うのも作るのも』
『また聞きに来てよ、晴れの日は練習してるから』
この日から僕は早起きが習慣となった
彼女が引っ越す日まで、ずっと歌を聞き続けた
これは僕の大切な友達の思い出
【友だちの思い出】