遠くの街へ
紙飛行機を投げる。
君が受け取ってくれますように。
どこにも書けないこと
お前は、俺がお嬢さんのことを好きだと思ってただろ。
でも違う。本当は、お前のことが好きだった。
これは墓場まで持っていく。
たとえお前がお嬢さんと結婚しても、変わらない。
それでも、
お前の一番の理解者は俺でありたい。
一番近くで、お前を見ていたい。
こんなこと、どこにも書けない。
だからせめて、友達でいさせてくれ。
新年
あけましておめでとう、と誰に向けるでもなく呟いた。
あいつが今どこにいて、何をしているのかは分からない。
もう同じ空の下にいるのかさえ、確信はない。
去年の最後に交わした言葉を、何度も思い返す。
優しかったのか、冷たかったのか、自分でも分からないまま終わった会話。
あいつは何を思って、あの背中を向けたんだろう。スマホの画面を開いて、閉じる。
送らない。送れない。でも消せない。
もし今、あいつが誰かの隣で笑っていたら。
もし一人で、同じ夜空を見ていたら。
どっちでもいいはずなのに、どっちも少しだけ苦しい。
結局、送信はしなかった。
あけましておめでとう。
今年も、どこかでちゃんと生きていろ。
僕と一緒に
君がいなくなった。
僕との約束は、忘れたらしい。
君がいないと何もできない。
食事も喉を通らないし、眠ることもできない。
楽しさも哀しさも感じなくなった。
君といたときだけ、僕は感情を持てていた。
僕は君にとって、何だったんだろう。
結局、約束を破って勝手に消えた。
僕は君にとって大した存在じゃなかったんだろう。
君が僕を嫌っても、僕は君を好きだ。
愛している。
……いや、そんな安っぽい言葉で片付けていいのか。
君がいたから僕がいた。僕は君そのものだった。
あの約束を、君は苦笑いしながら受け入れた。
一緒にいくって、言ったくせに。
――嘘つき。
フィルター
君は、完璧な存在だった。
教室の隅にいる僕なんかとは正反対で。
頭が良くて、優しくて、どこか儚い。
神様はいくつもの贈り物を、君だけに与えたんだろう。
初めて同じクラスになった春。
隣の席になった夏。
突然君は学校に来なくなった。
そして、君が死んだ。
――君はただの人間だった。
だって君が死んでも季節は巡る。
最初は泣いていた奴らも、もう君のことを忘れたみたいだ。
君が完璧な人間じゃないってこと、本当は気づいてた。
自分が見たいものだけ見て気づかないふりをしていただけなんだ。
ごめんね。
あいつは、僕が殺すから。