お金よりだいじなもの
俺は貧乏で、あいつは金持ち。
だから近づいた。金が欲しかったんだ。
しかしどうやら、あいつは俺のことが好きらしい。
ただ媚びていただけなのに。滑稽だ。
金しか取り柄のないやつなんて、どうせ俺みたいなのに利用されるのがオチだ。
金払いはいいし、付き合ってやることにした。
もっといいカモが見つかれば、その時に捨てればいい。
——そう思っていたのに。
なんでだ。
なんで、なんで、なんでだ。
俺はあいつが嫌いだ。
好きじゃない。全然好きじゃない。
むしろ嫌いなはずだ。
それなのに、どうして——
気づけば、あいつの笑顔をもっと見たいと思っている。
おかしい。
気持ち悪い。
こんな感情、知らない。認めたくない。
なのに、
俺の心臓がうるさいくらいに叫んでいる。
——お前が大切だ、と。
遠くの街へ
紙飛行機を投げる。
君が受け取ってくれますように。
どこにも書けないこと
お前は、俺がお嬢さんのことを好きだと思ってただろ。
でも違う。本当は、お前のことが好きだった。
これは墓場まで持っていく。
たとえお前がお嬢さんと結婚しても、変わらない。
それでも、
お前の一番の理解者は俺でありたい。
一番近くで、お前を見ていたい。
こんなこと、どこにも書けない。
だからせめて、友達でいさせてくれ。
新年
あけましておめでとう、と誰に向けるでもなく呟いた。
あいつが今どこにいて、何をしているのかは分からない。
もう同じ空の下にいるのかさえ、確信はない。
去年の最後に交わした言葉を、何度も思い返す。
優しかったのか、冷たかったのか、自分でも分からないまま終わった会話。
あいつは何を思って、あの背中を向けたんだろう。スマホの画面を開いて、閉じる。
送らない。送れない。でも消せない。
もし今、あいつが誰かの隣で笑っていたら。
もし一人で、同じ夜空を見ていたら。
どっちでもいいはずなのに、どっちも少しだけ苦しい。
結局、送信はしなかった。
あけましておめでとう。
今年も、どこかでちゃんと生きていろ。
僕と一緒に
君がいなくなった。
僕との約束は、忘れたらしい。
君がいないと何もできない。
食事も喉を通らないし、眠ることもできない。
楽しさも哀しさも感じなくなった。
君といたときだけ、僕は感情を持てていた。
僕は君にとって、何だったんだろう。
結局、約束を破って勝手に消えた。
僕は君にとって大した存在じゃなかったんだろう。
君が僕を嫌っても、僕は君を好きだ。
愛している。
……いや、そんな安っぽい言葉で片付けていいのか。
君がいたから僕がいた。僕は君そのものだった。
あの約束を、君は苦笑いしながら受け入れた。
一緒にいくって、言ったくせに。
――嘘つき。