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フィルター

君は、完璧な存在だった。
教室の隅にいる僕なんかとは正反対で。
頭が良くて、優しくて、どこか儚い。
神様はいくつもの贈り物を、君だけに与えたんだろう。

初めて同じクラスになった春。

隣の席になった夏。

コンビニ帰り、傷だらけの君を見た秋。

そして、君が死んだ冬。

――君はただの人間だった。

だって君が死んでも季節は巡る。
最初は泣いていた奴らも、もう君のことを忘れたみたいだ。

君が完璧な人間じゃないってこと、本当は気づいてた。
自分が見たいものだけ見て気づかないふりをしていただけなんだ。

ごめんね。
あいつは、僕が殺すから。

9/9/2025, 12:34:23 PM