あひる

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11/13/2024, 12:47:56 PM

また会いましょう


「じゃ、またね」
「うん。また会いに来る」

 350km先に向かう新幹線のドアが閉まった。
 次に会う約束をして。
 
 約束は前倒しになることもあって。
 上手くいっていると思っていた。
 
 
 1年が過ぎた暖かな春の午後。
 通知音がした。
 『ごめん』から始まるライン。
 嫌な予感がした。

 『いつか……また……』
 
 もう、その日は来ないんだなって思った。
 

11/12/2024, 1:14:00 PM

スリル

 
 ふたりでスリルを味わうのなら

   怖いことは半分に 

 楽しいことはもっと楽しい
 

11/11/2024, 12:06:50 PM

飛べない翼


「いてっ」

 背中に走った痛みに思わずその場にうずくまった。
 あと少しで飛べたのに。
 後ろからザリザリっと足音がして、黒の革靴が視界に入った。

「何すんだよ!」
「まだ早いですよ、飛ぶのは」

 見ると男の手には、翼みたいなものがあった。

「は? 何言ってるんだよ、関係ねぇだろ、アンタに」
「ありますよ。担任ですから」
「意味わかんねぇんだけど。背中痛いし、ていうか、何それ?」
「あぁ、これですか。キミの翼です。飛ばないように、もぎましたから――」

 背中をさすってきて「痛いですか?」なんて聞いてくる。

「本来、死ぬ時しか見えないんですよ、この翼は……君は」
 
 ――あぁ、そういうことか。
 
「がんばりすぎです。17でこんなに立派な翼にならなくていいんです。立てますか?」
「…………」
「おんぶしますか?」

 ――はぁ? 何言ってるんだよ、この先生……。

「……先生って、一体……何者?」
 
 揺れる背中で聞いた。
 あったかかった。

11/8/2024, 12:16:49 PM

意味のないこと



「もし、あの時こうしていたら……」と考えること。

11/3/2024, 12:52:27 PM

鏡の中の自分


 洗いたての顔をタオルから離すと、鏡越しに起き抜けの彼と目が合った。
 
 同時に背中から甘やかな衝撃に包まれた。
 
「おはよう」
「おはよう」
 
 鏡越しに彼と見つめ合う自分の顔は、見たことがない自分で。
 
 ――彼しか知らない私。
 
 

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