小鳥貴族

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8/19/2023, 2:14:15 PM

 仕事のプレッシャーでストレスをとても感じる。今日の心はどんより曇り模様。昨日は澄み渡る青空のような気分だったのに、台無しだ。最近の私の心は空のように変わっていく。空模様。

                   『空模様』

8/19/2023, 6:09:06 AM

 あの子は私と話す時はいつも無表情。だって私があの子と話す時は無表情だから。どうでもいい思っているから。相手は自分を映す鏡。あの子のことを深く知れば、きっと無表情から笑顔に変わるだろう。

                       『鏡』

8/17/2023, 4:16:14 PM

 私の実話を話します。私は人を心から愛したことがありません。だから、私が結婚して子供が出来たら、家族を愛することなんて出来ないと思っていました。子供のために睡眠時間を削って、ミルクをあげ、トイレの世話をする。夜型人間の私にそんなこと出来るわけがないと決めつけていました。でも、私は動物が好きで、売れ残っていたシマリスが可哀想で飼うことにしたのです。まだ幼いシマリスでした。名前は中原中也からとって“中也”にしました。シマリスは昼間活動して、夜には寝る動物だったので、私は驚きました。ハムスターと同じ感覚で、夜型の動物だと思っていたのだから。中也はすぐに私に懐きました。好物はナッツとミルク。餌をあげると、いつもナッツから食べ始めました。私が起き上がると、ミルクの時間だと覚えたのか、ゲージの中から朝、私の様子を伺っているのが分かりました。小さい頭でそれを覚えられることに関心しました。いつの間にか夜型人間の私が、朝早起きをし、ミルクをあげ、糞の片付けをしていることに気がつきました。ミルクは、粉ミルクをお湯に溶かして、中也用の小さな注射器に入れます。それを持ってゲージを開けると、私の手に飛び乗ってきます。そして私の手の上でミルクを一生懸命飲むのです。私はこの時間が一番好きでした。活発な中也が唯一私の手に長く留まっていたのですから。中也は私の姿が見えると、すぐに駆け寄ってきてゲージにしがみつきます。その姿が愛おしくて、私もこんな風に誰かを愛することが出来るのではないかと思ったのです。私の中に、いつの間にか母性が芽生えていたのです。
 そんな毎日が続くと思っていました。しかし、中也は亡くなりました。私が隣の県に研修に行っている時でした。研修が終わり、駅のホームで電車を待っていると、家族から電話があり、その悲報を受けたのです。私は死を決意しました。電車が来たタイミングで飛び降りるのもいいかもしれない。でもまだ中也の死体は見れていない。どんなに悲惨な死体だったとしても、私は見なければならない。そう思ったのです。死ぬのは家にしよう。そう考えました。電車に乗り、友人と別れて新幹線に乗りました。一人になった途端、涙が溢れてきました。止めようと思っても止められない。私は新幹線の中で泣き続けました。
 家に着くと、中也は眠っているように死んでいました。も浮かれ果てたと思っていた涙は、再び溢れ出てきました。今までで一番泣きました。泣いたら冷静になったのでしょう。私は中也のためにも生きないといけないと思いました。その日は眠れず、朝起きたら中也のミルクを作っていました。この習慣はきっと暫く抜けないのでしょう。中也との思い出が詰まった家にはいれず、一人暮らしをすることにしました。そうして荷物を整理し、アパートでの生活に必要なものを段ボールに入れました。そして、捨てようとしても捨てられなかった中也のミルクを飲む時に使っていた注射器を持っていくことにしました。私でもきっと誰かを愛することが出来る。そう教えてくれた中也のためにも、中也がいないこの世界で生きていきたいと思います。長くなってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

           『いつまでも捨てられないもの』

8/17/2023, 7:18:39 AM

 小学校では100点なんて当たり前だった。中学生では成績は常に1位。県内でトップクラスの進学校行って、大学は難関大学に。そして国家試験に合格して弁護士になった。この胸についているバッヂが俺の学歴の証だ。

                   『誇らしさ』

8/15/2023, 3:49:12 PM

 大きな理由なんてない。「海がいい」と夜に思ったからで、海に思い出があったり、好きな場所だったりしたわけじゃない。些細なことだった。「最近生活習慣が乱れてきたな」とか、「隣人の騒音がストレスだ」とか、そういった小さな不満が重なって爆発しただけだ。近くの自殺スポットがないから好きな場所で死のうと思った。目の前に黒い世界が広がっている。この先に死が待っているというのに心は落ち着いていた。「遺書は書いてないな、書いたほうがいいのか?」なんて悩みながら一歩踏み出そうとした瞬間、聞き覚えのある音がした。鈴の音だ。咄嗟に振り向くと、いつも餌をあげている猫がいた。いつの間にか現れた、どこの家の猫なのかも分からない。それでも、必死におねだりしてくるのが可愛くて、餌をあげていたら懐いてきた。この猫との時間が生き甲斐だった。もしこのまま死んでしまったらこの猫はどうなるのだろう?飼い主が餌をあげない人だからあの猫は餌をねだってきたのではないだろうか。だったら死ぬわけにはいかない。黒い海にそっと背を向け、猫を抱いた。この猫が来なくなるまで生きようと思ってしまった。

                     『夜の海』

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