"街の明かり"
月の明かりが街を照らす
もう誰もいない街を白く照らす
ひとりぼっちになった私にも白い光が降り注ぐ
一か月前までは活気があった街に孤独だけが残った
この街で戦争が起こった
誰も止めようとしなかった
街の明かりは消えた
ひとりぼっち
月の光の下で、小さな芽が出てた
ぼろぼろになった私の家の前に
月の光に照らされて、私は1人旅に出る
"日差し"
温かい日差しが私の頭を照らす
窓を開けると入ってくる光はまるで私を外の世界へと誘っているよう
昔みたいに鳥のさえずりを聞きながら花畑で寝転がりたいな
もうどんな感じだったか忘れちゃったけど。
天使でも神でも女神でも連れてってくんないかな
いつからだっけ?ここに閉じ込められたのは
鉄格子の窓から見える景色の中に飛び込みたい
あの鳥のように自由に飛んでいけたらな
ああ、自由になりたい
“1年後”
初めて会った時の印象は、チャラいな、こいつ、
だった。
何をするにもすぐちょっかいをかけてくる。
ノートに落書きしてくるし、
好きなタイプは?とか聞いてくるし、
全くチャラくない人ね、君はダメ、
昼休みに寝てたら起こされるし、
移動教室の時も追いかけてくる、ひっつき虫かよ、
そんなこんなで半年が過ぎた。
ある日、あいつが私に向かってこう言った。
『俺、半年間転校するんだ。』
家に帰ってから涙が止まらなくなった。
いつの間にかあいつを好きになっていた。
好きになるって自覚がないんだと初めて気づいた。
あいつが戻ってきたら告白しようと決めた。
半年後、
あいつが戻ってきた。
でも、あいつじゃなかった。
髪は短く整えられ、チャラさが1ミリも残っていなかった。
あいつは私が話した好きなタイプを覚えていた。
嬉しさで泣いたわたしを抱きしめて、あいつは言った、
『好きだよ。』
“好きな色”
帰りのバスから見える夕焼けの空
庭の金木犀
彼と歩いた桜並木
ケーキにのった真っ赤ないちご
家族で見た十五夜の満月
湖のほとりにいる白鳥の翼
どれも好きな色
忘れられない思い出
私たちの日常は色で溢れている
"相合傘"
雨は好きじゃなかった
けれど、彼と帰る日の雨は大好きだった
腕を組みながら濡れないようにと引っ付いて帰った
私が右に立って、彼が傘を持ってくれる
雨の日の放課後は毎日楽しかった
彼が事故にあった日も雨の日だった
雨で視界が悪かったため、信号で右折してきた車に彼の命は奪われてしまった
彼のいない日々は毎日が真っ暗で、孤独だった
しかし、唯一、雨の日は心が明るかった
雨が降ると、彼との思い出がいっぱいの楽しかった頃を思い出せる
私は雨の日、必ず傘の右側に立つ
微笑む彼と並んで歩いている気がするから