"相合傘"
雨は好きじゃなかった
けれど、彼と帰る日の雨は大好きだった
腕を組みながら濡れないようにと引っ付いて帰った
私が右に立って、彼が傘を持ってくれる
雨の日の放課後は毎日楽しかった
彼が事故にあった日も雨の日だった
雨で視界が悪かったため、信号で右折してきた車に彼の命は奪われてしまった
彼のいない日々は毎日が真っ暗で、孤独だった
しかし、唯一、雨の日は心が明るかった
雨が降ると、彼との思い出がいっぱいの楽しかった頃を思い出せる
私は雨の日、必ず傘の右側に立つ
微笑む彼と並んで歩いている気がするから
6/20/2024, 6:14:55 AM