銀時計

Open App
4/23/2024, 12:09:44 PM

『今日の心模様』8/101
ずっとどしゃ降りだった私のこころに、
ちいさな太陽ができました。
雨でぬれた私のからだを、
ぽかぽかあたためてくれました。
しだいにあたまの上のくろい雲はしろくなって、
それもずいぶん少なくなりました。
かわりに太陽がかおを見せてくれるようになって、
私たちは、いっぱいおしゃべりをしました。
がっこうのこと、ともだちのこと。
しょうらいのゆめ、おかあさんのおせっきょう。
いつしか傘はいらなくなっていました。
あしたもきっといい天気。

4/22/2024, 11:55:24 AM

『たとえ間違いだったとしても』13/93
ああ…また、やっちゃった。
いつからだろ、こんな夜が増えたの。
最初は大丈夫だったんだけどなあ…
段々彼が構ってくれなくなってきたっていうか。
バイトとかレポート提出とかに忙しいんだって。
前まではその間を縫って会いに来てくれたのにね。
あの言葉もウソだったのかな?
淋しい思いはさせない、ってハグまでしてくれたのに。
その言葉を信じてここまで生きてきたんだよ?
あなたの為に私は何だってしてきたんだよ?
短い方が良いって言うから伸ばしてた髪も切ったし、
あなたの好きなミニスカートだって毎回履いてるよ?
ねえ、これじゃ私だけが頑張ってるみたい。
私だけがあなたのことを愛してるみたい。
ねえ、ねえ、彼くん?
もっと私のことを見てよ、ね?
ほら、見てよ、私、かわいいでしょ?愛おしいでしょ?
ねえ、彼くん。
こんなかわいそうなわたしをもっとみてよ。

4/21/2024, 11:19:23 AM

『雫』15/80
ぽつり、ぽつり。
ひとり、ぽつり。

じっとしたをみていたら、
いつしかぼくのかおがみえていた。
そのかおもみえたり、にじんだり。
ぼくはわるくなんかなくて、
ぜんぶあのこがわるいんだ。

ぽつり、ぽつり。
いまも、ぽつり。

あの頃は俺もガキだったから、
ずっと知らないフリしてたんだ。
水鏡に映ってたのは俺じゃなくて、
アイツの悲しむ顔が見えて苦しかったんだ。

ぽつり、ぽつり。
しずく、ぽつり。

もう、零すものか。

4/20/2024, 1:48:02 PM

『何もいらない』12/65
できるなら、もっと望みたかった。
他のすべてを捨ててでも。
でも、もう、いいの。これ以上は。
お金も、時間も、地位も、将来も、幸せも。
ぜんぶ、あなたに満たされちゃったから。
あなたと過ごしたすべてが、私の生きる道になる。
だから、もう、いいの。

長い髪をなびかせながら彼女は歩き出す。
彼の温もりを手に感じながら。
しかし、それは、少しずつ、けれど着実に、
彼女の手から消えていく。

今日は雨天、いや、雨のち晴れだったろうか。

4/19/2024, 10:54:47 AM

『もしも未来を見れるなら』9/53
もしも未来を見れるなら、神様、
宝くじの当選番号なんていりません、
来週末のテストの内容なんていりません、
わたしの将来なんて興味ありません、
ただ、ただ、あの人の、

ああ、神様ありがとう、
ほっと一息、いつものカフェオレでも…
いや、今日はキツめのブラックコーヒーって気分。
ピンクのマグカップには似合わない漆黒の液体は、
わたしの顔をありありとうつしてる。

Next