にわかなオタク MZRYA

Open App
4/9/2024, 10:28:46 AM

誰よりも、ずっと

"努力の男"
巷じゃそう言われている。

眉目秀麗な彼は
今日も脇目もふらずに大剣を振るう。

聞けば小さい頃の憧れだった
騎士団に入れたんだとか。

もともと身体が弱かったくせに
いつの間にかあんな偉業を成し遂げるまでに成長して

でもあいつは、何処か遠くを見やってる。

周りが何度となく
褒めたり、貶したりしてみても

いつも何処か遠くを見てるんだ。

多分、誰よりもずっと
情に厚いだけの男なんだろう。

4/7/2024, 11:42:57 AM

沈む夕日

例えば、君の目が好きだ。
真っ赤に燃えてるように見えて
本当に"触れたら火傷"するかもしれない。

ここは地下だし、例えるものは
こんな安っぽい炎しか思いつかないね。

でも見て、空と雲と太陽、それから月。
うちにあった白石で書いてきたの

本で読んだよ、太陽は眩しいから白いけど
時間が経つと赤くなって海に潜るんだって。

だから多分、君の目は炎と太陽の色だ。

4/6/2024, 10:59:52 AM

君の目を見つめると

いつかの君が、差し伸べた手を
僕は取らずにとっておきたかった。

それは、初めて君が
僕をちゃんと見てくれたって
ちゃんと思えたことだったから。

君はいつも目を逸らす。

ブロンドのまつげに縁取られた細い目
黒いパーカーの袖から見える白い手

全部が君で
世界も君だ。

閉じることのなくなった
君の目を見つめると、なんだか
とても

4/1/2024, 12:02:44 PM

エイプリルフール

4月1日
今日は"ウソの新年"。


「今日は何度でも嘘をついていいのだよ。
どんな嘘でもね、いいのだよ。」

小さな胸を仰け反らせて
まるで貴族のように振る舞う我が妹。

「…どうしてかしら?
どうして今日は嘘をついても良いの?」
「むむ!貴女はかの有名なお嬢様!
ふふん♪特別に教えて差し上げましょう!」

すると、おもむろにスマホを取り出した。

「…………」
「えーと、あったあった…
こほん!えー、"フランスでは、3月25日を新年として4月1日までお祝いをしてい……(割愛)。"」

ながながとwikiかなにかを読み上げる我が妹。

「あ、あと大事なことが一つあるのだよ!」

指を立ててさも重要なことだと言いたげな顔をする。

「それはね、お昼になったら嘘だったって
ちゃんと言わなきゃなのだよ!」

たっぷり時間をかけて言葉を繋いだ。

「でもね、我が妹よ。」
「ん?なんだね」
「もう夕方なんだけど、いつまで続ける?」



愚かな妹。

4/1/2024, 4:27:12 AM

幸せに

ゆらりと波打つ水面。
舟の上で、水を揺蕩う一人の男を見つめる。

微かに胸が上下しているところを見ると
生きてはいることがわかる。

たまに手を緩く握ったり閉じたり。
何かを探すように腕をざわつかせる。

パドルで彼を突いてみる。

すいっと更に沖の方へ流れていく。
髪の毛が水面を滑る。

自分はパドルを握りしめ
未だ煙の上がる都市へ目を向ける。

まだ青い空と海。

彼の望んだことは何でも叶えてあげたいから。

これが君の望みなら。

どうか幸せを享受して。

いつか還ってきたときは、教えて。

しあわせに。

Next