MZRYA−I'm little cat.

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4/6/2024, 10:59:52 AM

君の目を見つめると

いつかの君が、差し伸べた手を
僕は取らずにとっておきたかった。

それは、初めて君が
僕をちゃんと見てくれたって
ちゃんと思えたことだったから。

君はいつも目を逸らす。

ブロンドのまつげに縁取られた細い目
黒いパーカーの袖から見える白い手

全部が君で
世界も君だ。

閉じることのなくなった
君の目を見つめると、なんだか
とても

4/1/2024, 12:02:44 PM

エイプリルフール

4月1日
今日は"ウソの新年"。


「今日は何度でも嘘をついていいのだよ。
どんな嘘でもね、いいのだよ。」

小さな胸を仰け反らせて
まるで貴族のように振る舞う我が妹。

「…どうしてかしら?
どうして今日は嘘をついても良いの?」
「むむ!貴女はかの有名なお嬢様!
ふふん♪特別に教えて差し上げましょう!」

すると、おもむろにスマホを取り出した。

「…………」
「えーと、あったあった…
こほん!えー、"フランスでは、3月25日を新年として4月1日までお祝いをしてい……(割愛)。"」

ながながとwikiかなにかを読み上げる我が妹。

「あ、あと大事なことが一つあるのだよ!」

指を立ててさも重要なことだと言いたげな顔をする。

「それはね、お昼になったら嘘だったって
ちゃんと言わなきゃなのだよ!」

たっぷり時間をかけて言葉を繋いだ。

「でもね、我が妹よ。」
「ん?なんだね」
「もう夕方なんだけど、いつまで続ける?」



愚かな妹。

4/1/2024, 4:27:12 AM

幸せに

ゆらりと波打つ水面。
舟の上で、水を揺蕩う一人の男を見つめる。

微かに胸が上下しているところを見ると
生きてはいることがわかる。

たまに手を緩く握ったり閉じたり。
何かを探すように腕をざわつかせる。

パドルで彼を突いてみる。

すいっと更に沖の方へ流れていく。
髪の毛が水面を滑る。

自分はパドルを握りしめ
未だ煙の上がる都市へ目を向ける。

まだ青い空と海。

彼の望んだことは何でも叶えてあげたいから。

これが君の望みなら。

どうか幸せを享受して。

いつか還ってきたときは、教えて。

しあわせに。

3/26/2024, 10:48:44 PM

ないものねだり

気になるあの人。
私にはないもの持ってる。
綺麗な顔に、綺麗な人柄。
いいな。欲しいな。
あの人はケンキョで慎ましい。
私だったらもっと上手く生きてあげられるのに。

気になるあの子。
私にはないものを持ってる。
恵まれた家庭に、親からの愛。
いいな。欲しいな。
あの子はゴウマンで横暴。
私だったらもっと上手く生きてあげられるのに。

3/17/2024, 11:03:45 PM

泣かないよ

結局、あの日から何年経っても
あンたは泣き虫なままだったよね。

「俺、もう成人よ?流石に泣かんて。」
「ほんとう?じゃあ…」
「それにさ、たしかに泣き虫は認めるけど
高校入ってからとかぜんっぜん、ひとっつも
泣いてないから。」
「本当なのか〜?違う高校だからって
嘘ついたらだめよー」
「…………」
「ほら、何とかいいなって」
「俺は、もう泣かんよ。だから心配するなよ。」
「あンた…」

まだ、あンたは泣き虫なままだ。
でも、頼りがいのある男になったね。

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