M.IZRY−I'm little cat.

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4/18/2023, 11:39:06 AM

無色の世界

生まれついての全盲だった。
いつも周りに迷惑ばかりかけている気がして
友達を作れなかった。
最初に話しかけてくれたのはむこうだった。
いつからか、話しかけてくれる人が減った。
最期まで一緒にいてくれたのは
一番最初に話しかけてくれた人だった。
本当に輪廻転生があるなら、
もういっかいこの人の近くに生まれて
目も見える状態で
今度は自分があの人を救いたい。
色のない世界に
擬似的な色に染めてくれた人。

4/18/2023, 5:04:40 AM

桜散る

可憐に咲いた桜だって
春が過ぎれば跡形もなく散っていく。
それでも、また春がやってくると
可憐に咲き始める。
終わるから始まる。
始まるから終わる。
終わらない自分はどうやって始まればいい?
始まらない自分はどうやって終わればいい?
窓の外から見える桜は
淡く、可憐に
力強く咲き誇っていた。

4/16/2023, 12:03:16 PM

ここではない、どこかで

幼馴染がいる。
目が大きくて、よく通る声をしている。
産まれる前からのつきあいなんだよって親から言われた。
幼稚園も、小学校も中学校も同じだった。
どっちが早くゲームを全クリできるか勝負したり
たまに一緒にバカやったり
いつからか分からないけど
いつの間にか、目で追うようになった。
漫画とかでこういうの見て、
こんなのフィクションだろうと思ってた。
寄りにもよってアイツに。
高校になって、幼馴染は
山形だっけ、遠い高校に行くことになった。
中学の卒業式
告白された。
その時何言ったのか全然覚えてない。
こわかった。
ただそれだけ。
アイツはもう山形らへんに引っ越した。
どう答えたのか覚えていない。
俺もいつか、ここじゃないどっかで生きるんだろうな。
ずっと、この思いを抱えながら。

4/15/2023, 1:15:41 PM

届かぬ思い

私は歌ってる。
みんなが作ってくれた曲を、拙いけれど一生懸命に歌う。
みんな、私にいろんな歌を歌わせてくれる。
だから私も、感謝の気持を謳いたい。
でも、うまく声が出ないの。
無機質な声。
みんなが私を作ってくれた。
いろんな私がいる。
私のナカマもいっぱい作ってくれた。
「ありがとう。」
声に出したいけど、聞いてほしいけど、
私のオモイは届かないの。
私のセカイにみんなはいないの。
それでも、歌うの。
届いたらいいなって想いながら。

4/14/2023, 11:31:38 AM

神様へ

「う、うーん…ここは………」
目が覚めると、真っ白で本当に何もない場所に居た。
「うわっ!?眩しっ!!!」
「ふん、やっと目覚めたか。」
突然光とともに謎のイケオジが現れた。
「えっ、は、あの誰すか?てかどうやって出てきた………」
「先ず一つずつ答えてゆこう。」
「ア、ハイ オネガイシャース」
顔も声も整ってやがる。
やはり神は二物を与えるのか…
「先ず、私は誰なのか。ということだったな?」
「ウッス……」
「簡単に言うと”神”だ。」
「………は?」
出てくるときも突拍子もなかったから発言も突拍子もないってか!??
「いやいやいや、どっからどーみてもただのオッサンじゃん!」
「んなっ!?何を言うか!れっきとした神だぞ!」
スーツ着てるし、顔見なければただのサラリーマンにしか
見えないのに……
「なんだと!?」
「あ、ヤベ。」
「まったく、最近の若いもんは………」
ブツブツと老人のような偏見を独り言ちている自称神を見て、
「あの~どーでもいいんすけど早く返してくれませんかね~」
「む、仕方ない。なら手短に言うぞ。」
そう言うと自称神はくるりとこちらを向いた。
「要点をまとめると、お前は死んだ。だがあまりにも突然でお前は気づいていなかった。そしておr、ゴホン!私より位の高い神様が二つ願いを叶えてくれるそうだ。私はその願いを聴きに来たのだ。」
「………え~っと、二つの願いを聴きに来たのね。」
正直ほぼ聞いてなかった。
「まったく、最初っから聞いていたか?」
「うーん…願い事か………」
こうして考えてみるとあんまり大きな願いなんて無いもんなんだな。
「……強いて言うなら、宝くじあったって見たいのと…
ん~~………まぁ、普通に親悲しませずに生きるってぐらいかな。」
「そうか……なら、しばしの間目を瞑っておれ。」
言われた通りに目をギュッと瞑る。
最後になにか声が聞こえたが、聴き取ることは出来なかった。
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「……ぇい!髙橋さん意識が戻りました!!」
周りから慌ただしい声が聞こえてくる。
「髙橋さん、私の声が聞こえますか?」
「……は、ぃ…」
声を出そうとして掠れた声しか出せないことに気づいた。
「よかった……これから親御さんも呼んで来ますので安静にお願いします。」
声を出さずに首だけで頷くと、看護師さんはパタパタとスリッパを鳴らしながら遠ざかっていく。
ここは病院?
なぜこんなところで俺は眠っていたのか。
考えるうちに眠くなっていって、いつの間にか目を閉じていた。
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あれから数年が経った。
退院したあとに俺は全てを知った。
高校の帰りに頭上からモノが落ちてきて、
そばにいた友達が救急車を呼んでくれたそうだ。
まだ通院する必要があるが、生きているだけで儲けものだ。
俺は成人した。
記念に宝くじをいくつか、友達と一緒に買った。
これで当たっていれば親を温泉旅行にでも連れていきたいな。

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